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ときおりの休息  十  あやしげな幸


目に焼きついて離れないということがある。
恐いもの見たさということも、恐いから見たくないということもある。
恐怖なのは長いものの姿で、それは払っても拭(ぬぐ)えない。脳裏に焦げ付くのだもの。
今年の夏は手を合わせて勘弁して欲しいほど、長いものを見た。

蛇腹とはよく言ったもので、ひっくり返って道路にのたばって死んでいたそれの腹は白く、
たくさんの横皺があり、一瞬で目に全像が焦げ付く。
温まった道が気持ちよくて昼寝して車に轢かれてはじけたもの。
薬屋のショウウィンドで薬壜に浸かり精力の素などと冠されているもの。
よせばいいのに酒屋が焼酎の品揃えを誇るなかに紛れて酒に浸かるもの。
これから美しい湿原のニッコウキスゲの群生を観に行くというその山のはじまりに、
頼みもしないのに山を登るもの等々。

数えたら悠に五指を越えるそのほかに、幾つかのウェブログに載っていたものがあって、
いつもなら気をつけて勘を働かして避けるのに、わたしの防衛器官は麻痺していたらしい。
迂闊にも抜け殻まで見てしまった。
それらは不思議なことに、脳裏に焦げ付くのではなく、網膜がやられる。
長いもののはずなのに、脊椎を丸め、網膜の裏側に巻きついて離れない。

今夜のお写真は、恐いもの見たさ。



■銭湯にて
これは恐くない。
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ここはユーモラスな源ヶ橋温泉
お写真は緑でよく見えないのが残念だけれど、屋根には金のシャチホコと自由の女神が。
大阪には町の中に温泉があるということにびっくり。
町屋散策の後、タオルを一本友人に貰って一人で入浴。ほとんど一番風呂だったのだが、
すでにおばあちゃん達が居て、「ぎょうさん使いなさい」とわたしに石鹸を貸してくれた。
道を聞いたら分かる所まで連れて行ってくれるのはおばあちゃん。
遠くから来たんだね、と旅を気づかってくれるのもおばあちゃん。
大阪の見ず知らずのおばあちゃん達は、優しかった。



■商店街にて
これから恐くなる。
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労働者の町、新世界から南に行くと、飛田新地と呼ばれる場所がある。
商店街を歩いてゆくと大門があって、高い門柱には、昔、遊女が逃げないよう塀があった。
「ここからはカメラを閉まってね。」友人に教えられてからの道は、まっすぐ前だけ見て歩いた。



■料亭にて
恐いのに行きたかった場所がある。
そこは内も外もワンダーランドのような建物。
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料亭の入り口には予約客の看板が。友人の心意気の計らい、「セイご一行様」。


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店の名は「鯛よし百番」、ここの意匠に囲まれて友人達と飲みたかった。


意匠の数々
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廊下の灯り
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楽しく過ごした部屋は鈴の間。



罰当たりな願いを叶えて迎えてくださったかたがたに感謝を込めて
ひすさんご夫妻
Hugoさん
by NOONE-sei | 2008-09-15 00:37 | ときおりの休息 壱(14)


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