ときおりの休息  十  あやしげな幸


目に焼きついて離れないということがある。
恐いもの見たさということも、恐いから見たくないということもある。
恐怖なのは長いものの姿で、それは払っても拭(ぬぐ)えない。脳裏に焦げ付くのだもの。
今年の夏は手を合わせて勘弁して欲しいほど、長いものを見た。

蛇腹とはよく言ったもので、ひっくり返って道路にのたばって死んでいたそれの腹は白く、
たくさんの横皺があり、一瞬で目に全像が焦げ付く。
温まった道が気持ちよくて昼寝して車に轢かれてはじけたもの。
薬屋のショウウィンドで薬壜に浸かり精力の素などと冠されているもの。
よせばいいのに酒屋が焼酎の品揃えを誇るなかに紛れて酒に浸かるもの。
これから美しい湿原のニッコウキスゲの群生を観に行くというその山のはじまりに、
頼みもしないのに山を登るもの等々。

数えたら悠に五指を越えるそのほかに、幾つかのウェブログに載っていたものがあって、
いつもなら気をつけて勘を働かして避けるのに、わたしの防衛器官は麻痺していたらしい。
迂闊にも抜け殻まで見てしまった。
それらは不思議なことに、脳裏に焦げ付くのではなく、網膜がやられる。
長いもののはずなのに、脊椎を丸め、網膜の裏側に巻きついて離れない。

今夜のお写真は、恐いもの見たさ。



■銭湯にて
これは恐くない。
c0002408_026562.jpg
c0002408_0262082.jpg
c0002408_026386.jpg
ここはユーモラスな源ヶ橋温泉
お写真は緑でよく見えないのが残念だけれど、屋根には金のシャチホコと自由の女神が。
大阪には町の中に温泉があるということにびっくり。
町屋散策の後、タオルを一本友人に貰って一人で入浴。ほとんど一番風呂だったのだが、
すでにおばあちゃん達が居て、「ぎょうさん使いなさい」とわたしに石鹸を貸してくれた。
道を聞いたら分かる所まで連れて行ってくれるのはおばあちゃん。
遠くから来たんだね、と旅を気づかってくれるのもおばあちゃん。
大阪の見ず知らずのおばあちゃん達は、優しかった。



■商店街にて
これから恐くなる。
c0002408_0284489.jpg
労働者の町、新世界から南に行くと、飛田新地と呼ばれる場所がある。
商店街を歩いてゆくと大門があって、高い門柱には、昔、遊女が逃げないよう塀があった。
「ここからはカメラを閉まってね。」友人に教えられてからの道は、まっすぐ前だけ見て歩いた。



■料亭にて
恐いのに行きたかった場所がある。
そこは内も外もワンダーランドのような建物。
c0002408_029243.jpg
料亭の入り口には予約客の看板が。友人の心意気の計らい、「セイご一行様」。


c0002408_0292614.jpg
店の名は「鯛よし百番」、ここの意匠に囲まれて友人達と飲みたかった。


意匠の数々
c0002408_0294472.jpg
c0002408_0301272.jpg
c0002408_0302733.jpg
c0002408_0304371.jpg


廊下の灯り
c0002408_031828.jpg
c0002408_0314333.jpg
楽しく過ごした部屋は鈴の間。



罰当たりな願いを叶えて迎えてくださったかたがたに感謝を込めて
ひすさんご夫妻
Hugoさん
[PR]
by NOONE-sei | 2008-09-15 00:37 | ときおりの休息 壱(14) | Comments(2)
Commented by ひす at 2008-09-17 16:10 x
あはははは!
この夏はもう、本当にたくさん目にされたのですね!
(そういや、私も山に行く度見ましたよ。今年は暑かったからでしょうか?)
さて、あの時は恐いもの見たさだったのですか?
私の目には、セイさんは全然たじろぐこともなく、
こちらが驚くほどに、平然とされてましたから、全くそうは思っていなかったですよ。
でも本当に楽しかったですね。
ぜひまた飛行機でビュビュンと飛んできてください!
(*^人^*)

>街中の温泉
普通の先頭も、屋号として「温泉」を名乗っておりますが、
大阪は頑張って穴ぼこを掘れば暖かい地下水が出てくるのです。
また、暖かくなくとも、「温泉」と認定してもらえれば温泉なのですよ。
でも、地下水がなくならないか少し心配です。
う~ん貧乏性~♪


Commented by NOONE-sei at 2008-09-19 00:42
ひすさん、
そうなんです、恐いのを例年以上に見ました、 げぇぇ・・・

百番界隈はね、旅に行く前から、なんというか、覚悟があったです。
タクシーで行くべきかとか。現地集合だとばかり。
駅から一緒に行ってもらえると思ってなかったので。
一緒に歩いてくれたおふたりに感謝です。
平然とじゃなくて緊張でかちこちだったかもです。血圧低いからなぁ、、、
あんまり顔に出ないみたいなのよね。

温泉町にも歓楽街があって、女こどもの行っちゃいけないところと教えられていたので、
わたしが敢えて百番に行くということには、覚悟が要るんだと思いました。
殿方のディズニーランドみたいなところと聞いていたしね。
みなさんの快いはからいがなかったら叶えられなかったことです、ほんとに。
ありがとーねー。
名前
URL
削除用パスワード


<< 閑話休題 四たび ときおりの休息  九  食の幸みたび >>