・メンタルな話なので引き寄せられる人は読まないほうがいい 自分で自分を天然だと感じてがっかりすることがよくあるのだが、 近頃、わたしは自分がほとほと鈍いのだとわかった。 白い菊にも、大輪から小菊まで、さまざまな種類がある。 あしらいにする花は、小手毬(こでまり)やかすみ草、 ポイントにする花は、カサブランカや鉄砲ゆりやストック、 白の花々を手入れしてずいぶん日が経ったような気がする。 そして、手のひらや指先が近頃かさかさすると思ったら、 花の手入れのせいだったのではないかとようやく気づいた。 奇数の七日毎(ごと)に集まって偲びましょうと、 初七日、三日七日、五日七日に親戚が来てくれた。 白ぶかしや、きのこのおこわ、いかにんじん、切り昆布の煮物、白菜漬け、大根の甘酢漬け、 などなど、本家も分家も、銘々が料理を持ち寄り思い出話をしながら食事をする。 わたしも根菜の煮物やちくわの天ぷら、きのこと豆腐のすまし汁などを用意した。 そのとき夢の話が話題にのぼった。 父は、四十九日までには近しいひとの夢に出るのだそうで、 亡くなった朝に父が夢枕に立ってくれたという親戚もいれば、 ふた七日に父が笑顔で車に寄ってきてくれたという親戚もいた。 ところが、わが家では誰一人夢に出たという者がいない。 母はまだ夢で会いたくないと言い、王様は楽しみにしていると言い、 鰐号は心待ちにしているのだと言う。 わたしは、会いたいような困ったような、でも会いたいような。 人寄せが続いて疲れが出たのか、ここ数日頭が痛かった。 今朝はすこしゆっくり起きたのだが、夢と現(うつつ)の境い目のような起きしな、 父の後ろ姿を見かけたので驚いて近寄った。 真っ直ぐの緩い坂道を前を向いて歩いている父は、えんじ色のスーツを着ていた。 前にまわって顔を見たけれど、目は合わなかった。 鈍い。 声をかければよかったと思ったのは目が覚めてから。 近頃になって、ようやく悲しいのだと気づいたのも、やっぱり鈍いから。
by NOONE-sei
| 2008-03-15 03:10
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