この時季はあちこちで春の祭りがある。 吾妻山の雪がうさぎの形に融け残り、まるで合図するように春の種蒔き時を知らせると、 一斉にあちこちの神社が奉納旗を掲げ、豊穣祈願祭をする。 桜も咲き始め、菜の花は一面の黄、桃の蕾は色づき、連翹の黄もちらちらと見かける。 梅は桜と見まがうほどに盛りだ。あと少しでこの地はいっぺんに春の花で埋もれる。 目出度い末広がりの8夜は、はなまつり。 友人に招かれ、はなまつりに連れていってもらった。 神社じゃなくて、お寺。 今日は釈迦の誕生日、花を散らして祝うのだという。 寺には子どもたちが集まり、数珠を作り、お釈迦様が花畑でこの世に誕生するまでを 紙芝居で話してもらう。わたしは大きいけれども、その中に混じらせてもらった。 女性の僧侶を初めて見た。 手を合わせることは、釈迦との挨拶と約束なのだということ、 身を清める香を右手に置くと、その手のひらに左手を合わせ、 左に右に返し甲にすり合わせ、胸に手を置き開く所作、 花に見立てた紙片の撒きかた、経の唱えかた。 初めてのことはみな新鮮な驚きだった。 甘茶は媚薬か、甘味料を加えていない天然の味だと聞いたが、 舌の点に入り込みこじあけて、脳を騙して直接甘味を感じさせるような味。 右手は天を左手は地を指して生まれたという釈迦像に、その甘茶をかける。 皆が順に甘茶をかけ、手を合わせる間、彼女は経を唱えている。 話すときには気づかなかったのだが、 女性の唱える経文は、美しく摩訶不思議な響きだった。 これはおまけ 友人の名は「坊」というのだけれど、僧侶ではないので精進料理ではありません。
by NOONE-sei
| 2007-04-09 02:37
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