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56夜 秋の風物 


今日は子規忌。
季節の行事や年間の歳時は、意識していないとすぐに遠のく。
明日は彼岸の入りだと知らなかった。

犬の散歩がてら夕飯のおつかいに行って、店の中をうろうろしていたら、
近所のひとに話し掛けられた。
  「おばんです。明日は彼岸の入りですねぇ。」
  「あ・・・はい、そうでしたねぇ。」

  「いつも彼岸の入りには混ぜご飯を作るんですよ。」
  「へぇ・・・何を入れますか?」

そのひとは買い物かごをひょいと見せて、
  「ほら。ごぼうとね、あぶらげとね、しいたけ、こんにゃく、、、そんなものですね、
   鶏肉は殺生だからお彼岸にはねぇ、、、。」
  「あぁ・・・そうですよねぇ、、、。彼岸の中日には、あの・・」
ぼた餅だかおはぎだか、わたしは季節に疎くて、考えないとわからない。

そのひとは察して、
  「おはぎね、作りますよ。ほら、うち、仏様がいるから。」
  「あぁそうかぁ、そうですよねぇ、、、」

  「セイさんちでは?仏様いないんですか?」
  「あ、うちはいないんですよ。だからよくわからなくて。」

  「だんだんにね、わかるようになりますよ。」
  「あぁ、そういうものですかぁ、、、」

そのひとは言葉がよくて、方言が出ない。きれいなひとで、よそから嫁に来たのだろう。
世事に疎いわたしをふんわりと受けとめて、恥をかかせないような美しい会話をする。
外に繋いで待たせていた犬は、店の人やおつかいにきたおばあちゃんにかわいがられていた。
めったに歩いておつかいをしないから、どの人が近所なのかもよくわからないのだけれど、
たまに、のんびり近くでおつかいもいいものかもしれないな。


今日のお写真は秋の風物を。
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果樹畑は梨の実がたわわ。


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蕎麦畑も一面の白。
by NOONE-sei | 2006-09-20 01:36


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