雪の小正月、いや大雪の小正月、いやいやこれはなにも珍しいことじゃない例年通り、雪かきの小正月。 成人の日は、その後の行く手が平坦ではないと指し示すのか例年雪が降る。 例年通りじゃないのは、なにやらわたしも鰐号も運がないらしいということ。 昨年の暮れ、鰐号の助手席に乗っていたら追突されて軽いむちうちになった。 こんな声が出るんだというくらいの悲鳴を上げた記憶はあるんだが、どうやらわたしは育ちが悪いらしく、 後で聞いたら「きゃー」じゃなくて「うわあーーーーっ」と声を上げ、その上なんと、 「なんだ、このーーーーー!!」と怒って叫んだという。 血が瞬時に遡(さかのぼ)って頭に届いたらしい。 そうだったそうだった、もともとわたしはそうした熱情の家で育ったんだった。 穏やかに思慮深く暮らそうと努めるうちに、自分の中の血の流れ方を忘れていた。 そのむちうちはほんとに軽く、例年のような疲れによる体調不良もなかったので、 鰐号にもらった上等なワインで年越しをし、正月は朝から、いただきもののたいへん美味い地酒を飲んだ。 頭には、適度に血が遡るぶんには快適である。 そんな数日を過ごし、東京に帰る鰐号のために神社に札をもらいに行き、 まだ時間があるからと犬らを連れて散歩に出たら、鰐号が田んぼ道でシワ コ を放した。 十四歳の婆犬ゆえ、視界が狭くなり嗅覚に頼って歩いていたと思ったら、いきなり走り出して驚いた。 すたたたとのびのび走るシワ コ を追ったら、わたしが引き綱を握っていたペロ コ も走った。 しかもわたしの前を斜めに横切りシワ コ を追う。 つまりわたしはペロ コ に蹴躓(けつまづ)いて、走りながら前にのめり正面から顔面を地面に打った。 眼鏡の蔓(つる)とレンズは砕け、顔からだらだらと流血していた。 手。手があるだろう?とその時のわたしに言ってやりたい。 手は引き綱を握ったまま体を庇わず、血は頭でなく顔の外に流れた。 すぐに頭痛が起こったので近くの病院に行ったら、脳をCTでスキャンされた。 幸い脳も骨も異常が見られず外傷だけなので、傷はみるみる腫れたけれどもたいした処置もせず、 医者はわたしのすばらしく美しくなった顔を見て笑いを堪(こら)えていた。失礼な。 年末からちょっと頭にくることが続く。車や地面に当たるのは当たると言っても有難くない。 そういえば、普段はほとんどテレビは見ないが昨年観ていたドラマの特別放送を録画していた。 昨年度の大学での聴講、最新の認知心理学では、脳をワーキングメモリに見立て、 その働きやしくみを特殊な例も併せて科学的に講義していたので、 サヴァン症候群の青年が主役のその物語は面白かった。験(げん)直しにそれを観よう。 テレビを観る時にはいつも、なにか手仕事や整理作業をする。 その晩は届いた賀状の整理をしていたが、だんだんにむかむかしてきた。 どれもこれも今年の干支の賀状、つまりは巳年の長いものだらけ。 昨年は母があまり散歩をしたがらなかったこともありほとんど長いものには遭遇しなかった。 『実を結ぶ』という言葉は美しいけれども、ほんとうに『巳』を結んだら、長すぎて不気味だ。 今日など、本屋でその『巳』の写真集まで平積みで販売しており、 親切なことに帯には「嫌いな人にはたまらない、好きな人にもたまらない」。 昨今は初詣のシロヘビ神社がどうだとか、スネークセンターで太いのを首に巻いたとか、 ネット上にでるわでるわ長いものが。 あらら、頭に血が上(のぼ)るはなしから、頭にくるはなしが加わって脱線した。 こういうのを蛇足というのだっけ。 書かなくちゃいけなかったのは前述のドラマの題名だった。 ・・「ATARU」というんだ。 今夜のお写真は、さくやこのはな ずっと以前に読んだもの ![]() 愉しかったよ、ありがたう。また本が旅して来ることを願う。 ![]() 認知心理学では、錯視や錯聴のメカニズムやワークもたくさん行なった。 「スナーク狩り」は、わかっているのにスナークがどうしてもスネークに錯視を起こすのでいずれ手放す。 宮部みゆきと夏樹静子と山村美紗も区別がつかない。 ついでに言ってしまおう。藤沢周平と山本周五郎と池波正太郎も区別がつかない。 ![]() わたしはこういった濃いものを「色もの」というPCの分類箱にしまう。 ![]() 丁寧にひとつひとつの文字を拾うように読む。 ![]() 特徴的なのは幼い者への会話だ。「泣いちゃだめ」ではなく「泣かないよ」と話しかける。 わたしもそういう言い回しをする時がたびたびある。 転んでしまったけれども、「走らないよー」とシワ コ に向かって声掛けしながら追っていた。 □おまけ いつも母と行くラーメン店。厨房からおじいちゃんがわざわざ出てきて母を出迎えてくれる。 ![]() ![]() ふたりで分けて食せるようにというおじいちゃんの心意気。 不思議なスープは見た目よりもさらりとして塩気も控えめ、長い時間鶏の骨を煮込んで漉すのだという。 ・ ・ 小正月の雪かきのあと、降り止んだ短い時間に庭で犬を遊ばせたよ。 ![]() ![]() ![]() ・おまけ ![]() ついでに言うと、長いしっぽも結んだらたいへんなことになります。ぎゃおぎゃおです。 ---------------------commercial message by Excite Japan Co., Ltd.-------------------------- ■
[PR]
by NOONE-sei
| 2013-01-18 01:31
| さくやこのはな
|
Comments(8)
![]()
こんにちは。
本当に大変だったのですね。 顔から雪に突っ込んだとはお聞きしていましたが、まさかそんなひどいありさまだったとは! のんきでのびのび走るわんこ達とは、すごく対照的だったのですね。 心よりお見舞い申し上げます。(*^人^*) でも、セイさんの口からそんな言葉が出るなんてびっくり! やっぱ、とっさのときはそうなるのかな? まるで、熱いものに触れたとき考える前に手を離してしまう感じに似ていますね。 もうこれは、セイさんの中に深く深く刻まれた、反応とも呼べるほどのものなのでしょう。 (私の場合だとどうだろう?結構気になるもんですね。) そうそう、年賀状! 今年のお正月、せいさんちは大変だろうね、年賀状の準備をしながら家でその話をしてましたよ。 だから一応、うちのはアレが一切出てこなかったでしょ?ほら!って、毎回うちは戌年か?(=^^=)ゞ 今年もワンやん元気でなにより! 雪山に上っているのはシワ? かっこいいぞ~!
ひすさん、
うふふふ~ おかげさまで 美しい顔は普通の顔に戻りましたよ~ 今は傷を乾かさないで治すよい絆創膏があるんです。 ところで、ひすさんは面白いことを言う。 とっさの反応のそれぞれ、ひすさんならどうか?ですね? わたしが興味あるのは、頭への血の上り具合いもさることながら、 地域の言葉がどう出るか?ですねぇ。 で、ひすさんならなんと言うんだろ?と思いましたよ。 ひす家で話題にしていただいたそうで、 年賀状のご心配をありがとうございます、ふかぶか~ いやもう参りました(涙目)。一枚一枚、菜ばしでつまみたかったです。 年賀状は嬉しい、ちょっとした手書きのメッセージも嬉しい、 もう、ずっと戌年だといいねーーー 今日はものすごい雪ですよ!量は多いけど軽いから雪かきも楽しかったです。 乾いた雪っていうのかな。こういう雪の日は底冷えがしないんです。 雪山もなおうずたかくなっています、それにぼふっと乗るのはペロ コ でありました~♪ ![]()
いやはや大変なお正月で…。
ATARIは当たりでも、地面や車とは。 しかし、ものは考えようであります。 1年の悪いATARIは全部いっぺんにすませ、 これからはいいARARIとなるというご宣託かもしれませぬ。 そう信じれば、楽しいではありませんか。 ところで。 >宮部みゆきと夏樹静子と山村美紗も区別がつかない。 >ついでに言ってしまおう。 >藤沢周平と山本周五郎と池波正太郎も区別がつかない。 これは聞き捨てなりませぬぞ(笑)。 宮部みゆきは、他ふたりとは違う。 藤沢周平は自然描写とストイック性において、 他の2人とは明らかに違うと、深く信じております。 私としては、1藤沢、2池波、3宮部でありまして、 それぞれの小説は5〜10回はしつこく読んでいますが、 「スナーク狩り」は未読なので、 今度おうかがいしたとき、ちょうだい!(笑)
ハクママ、
うちってね、宝くじを買ったことがないのね。 (くじ運がいいのは王様で、たまになにかの応募をすると当たるの、驚きます。) わたしの場合「当たり」とか「当たる」には普段縁遠いものだから 唸ってしまったです。ご宣託なのね?あはは、それいいかもだ。 きっと作家名を並べたら誰かが強く反応するにちがいない、と 網を張っていましたよ。 ハクママがかかったーーーー ふふふ 読む本の傾向はともあれ、わたしが小説を読んだことがびっくりでない? 「スナーク狩り」、あげるあげる~ 「チヨ子」もつけちゃう~ ハクママ、今年もここに読みに来てくれてありがたう。 chu ![]()
あはは、見事に引っかかってしまった(笑)。
うん、「チヨ子」ももらった。
ハクママ、
お会いしたいなぁぁ。 いろいろご心配をお掛けしています。 内に閉じ込めるよりも、思い切って打ち明けてよかったよ。 友達甲斐、、、という言葉を思い浮かべました。 ハクママは友達甲斐のあるヤツでした。 わたしも友達甲斐のあるヤツでありたい。 ![]()
がんばろ〜〜〜ぜい、否、セイ!!
ハクママ、
うん、うん。 だいぶシワ コ の状態が落ち着いたのでこれからupしてみるです。 おはなしまで持ってゆけるかレポートになっちゃうか、 犬のがんばりに比べて人間のほうは疲れも出てきているので ちゃんと書ききれるでせうか~・・・
|
最新の記事
お気に入りブログ
文章百珍
*【百夜話】
04年11月~05年04月 *【新百夜話】 05年05月~06年02月 *【新々百夜話】 06年03月~07年02月 *【新々々百夜話】 07年03月~09年01月 *【その後(五)の百夜話】 09年02月~11年01月 *【その六の百夜話】 11年02月~15年11月 *【その七の百夜話】 15年12月~ カテゴリ
profile(1) 百夜話 本日の塾(9) 新百夜話 本日の塾(12) 新々百夜話 本日の塾(9) 新々々百夜話 本日の塾(4) その五の百夜話 本日の塾(3) その六の百夜話 本日の塾(1) 百夜話 父のお話(19) 新百夜話 父のお話(4) 新々百夜話 父のお話(8) 新々々百夜話 父のお話(12) その五の百夜話 父のお話(1) その六の百夜話 父のお話(2) 仮想紀行(4) 本日の産声(8) 本日の道草(9) 数のない夜(23) 東京散歩(5) ときおりの休息 壱(14) ときおりの休息 弐(8) ときおりの休息 参(12) ときおりの休息 杜の都(4) 秋の図鑑(6) 閑話休題(22) 絵のような 文のような(5) 書庫まつり(12) 趣味の書庫話(→タグへ) 百ケ日連打(9) さくやこのはな タグ
検索
以前の記事
2017年 12月 2016年 12月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 03月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 04月 2015年 03月 more... 画像一覧
記事ランキング
ライフログ
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||
外部サイトRSS追加 |
||