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57夜 でもしか


でもしか、なんて言葉は経済的に豊かな時代の、選択肢が豊富だった頃の遺物のような言葉だ。
でも今夜のおはなしは、ほんとうに、でもしか。

母が医者からどんどん歩けというお達しをもらったので、
安達太良の紅葉を見せに連れて行った。
ゴンドラに乗るだけなので、さほど歩かずよろめく心配もそうはない。

乗り場までの道のりはカーブの多い坂道なので、王様は安全運転でゆっくり上る。
ゆるゆるとした速度でカーブを曲がったら、そのとたんに、見たこともないものに出くわした。
目の前を どすっどすっ と横切って行ったのは、ニホンカモシカ。
山の斜面を 道路を突っ切って駆け下りて見えなくなった。
自分では森の中を走り降りているつもりだったんだろう。

綺麗な毛並み、白と薄茶のまだら模様、黒い脚。
そして大きな体は、まるで牛かロバだった。
太い脚に太い胴体、これが本当に草だけを食む動物なんだろうか。
ほんの一瞬のことだったけれども、目から入る脳の中の映像というものはスローモーションだ。
わたしの脳裏に浮かんだのは、
・・でも、鹿なんだろう?カモシカ、あれを鹿って言うのか?


ところで山を下りてレストランでお茶を飲んでいたら、
建物の外に華やかないでたちの集団が現れた。
中心には、アジサイのような青や紫の、幾層もの花びらのようなドレスをまとった花嫁がいた。
たいそう大柄でよく目立ち、たいそうな貫禄。
ドレスだけでなく、ほんとうにアジサイのような花嫁だったんだ。
・・この日はふたつも大きなものを見たのだなぁ。




今年は季節がちょとおかしい。
きまって彼岸に咲く彼岸花さえ時期遅く咲き、
いつもならそろそろ見ごろの安達太良の紅葉はまだ早かった。
今夜のお写真は、昨年の安達太良の紅葉と先日のまだ紅葉していない安達太良の、二年分。

□昨年の安達太良
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□先日の安達太良
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山のリンドウはそろそろおしまい。




■おまけ
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派手ないでたち、一人で登る青年の後ろ姿。







ペロ コ とテン コ はよく遊ぶ。
遊ぶけれども、ひとさまから見たら、はらはらするような組み合いかた。
映像なら一瞬、カメラの目なら連続写真。

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テン コ は基礎体力がある。




     
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by NOONE-sei | 2012-10-13 02:39


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