3夜 お茶の時間


王様の親友がそれはそれは心配して、幾度も王様に連絡をくれた。
王様がどんなに、うちの被害なぞ軽微なものだ、と知らせても、
なにかできることはないか、と、やせ我慢かと思ったかなおなお心配する。

鰐号と半年振りに時間を巻き戻し、新たな時間を重ねるために、話したり衝突したり。
二人はついにもみあいになり、割って入ったわたしは運動神経が無いので流血した。
ちょうどそのとき、別の友人からも、個人への宅配が営業所留め置きに復活したから
なにか必要な物はないか、と連絡が。
王様が「親子喧嘩につけるクスリを。」と即座に返信した。
流血で衝突どころではなくなって平常心が戻った。ついでに、そんなときなのに
ユーモアも戻った。いや、そんなときだったからこそか?

鰐号はもちろん悪かったんだが、わたしの我慢が足りなかった。
一方、王様は、我慢しすぎて時間が長いこと止まっていたと気づいた。
翌日、三人が揃ったので、朝の食卓を囲んでわたしが言う。
「じゃ、久しぶりにいっせーのーせ、でいくよ。 き・の・う・は。」
一斉に謝るという、うちの懐かしい仲直り法だ。
「ごーめーんーなーさいっ。」
鰐号は声を出さなかったけれども、頭をぴょこんと下げた。

王様の親友からもなにか送って欲しいものはないか、と連絡が。
鰐号は横浜の生ラーメンと豚饅頭がいいと言う。わたしは美味しいお菓子と言った。
そう送信したら、「被災者は被災者らしく、トイレットペーパーとか言わんかいっ。」と返事。
だって、今本当に必要なものは石油とガソリンだもの。それは送れないだろう?
個人になぞいいから、その気持ちを義援に充ててくれ。

朝食の後三人で、めちゃめちゃになったままだった木小屋と作業場の復旧にとりかかった。
現場の作業には、一服の時間がつきもの。
わたしは本当にこんなとき、美味しい洋菓子が食べたかったのだけれど、
その晩、親友からの連絡にはこんな内容が。
「炭とコンロ。いつ頃着くか分からんけど。
宅急便が最寄の営業所留め置きで着くというので、着いたらリヤカーで取りに行っておくれ。」
・・きみは、どうしてもわが家を被災者家族にしたいわけだね?



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いま、わたしがいちばん欲しいのは、こんなお茶の時間。



※「王様の千と線」のこれから

このウェブログはおはなしを綴っています。
数のない夜は闇夜ですが、数のある夜のおはなしは、わたしの大切なトレーニングの場です。
闇夜に足を掬われない、闇も魔もある水の上澄みを掬う、そんな心持ちを持ち続けるためにあります。
日本中に広がりつつある天災や人災や大きな被災になすすべなくとてもつらいこの気持ちは、
それでもひょいひょい顔を覗かせるだろうけれど、今夜から数のあるおはなしに戻りたいと思います。

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by noone-sei | 2011-03-24 00:10


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