数のない夜 夢の途中


王様が炊き出しの手伝いに行っている。
原子力発電所から避難した人が約二百人、近くの大きな体育館に来たんだという。
夜分で食べる物の供給が間に合わないので、食品加工関係者に行政から依頼がきた。
関係者は組織として受ける間がないので、身近なところで賛同者を募り、
有志の被災者が重い被災者に炊き出しをすることになった。
朝に温かいおふかしの握り飯を提供できるよう、今、蒸し釜を準備しているところ。
それにしても食べ物が足りなさ過ぎる。
そして体を温めるものがなさ過ぎる。

こんなふうに、この地では人が人にできるだけのことをしようとしているのだから、
関東で聞き及ぶ、食糧の買占めなぞはやめてほしい。
そんなことをせずとも、あたりまえに欲張らずに暮らせば、
あたりまえに食べるものが口に入る流通が、まだあるではないか。
電車だって動くようになったではないか。
やっとつながった電話で、王様の実家埼玉から、父が食糧の確保に難儀していると言った。
わが家にまだ米はあるが、流通が途絶えていて送ってやることもできない。

町で給水車に三時間も並んで水をもらう人々がいる。
せめて知っている人にはメールで水を汲みにおいで、と連絡している。
できることをできることからすこしずつ始めることが復旧の始まりだ。
ほんとうに恐ろしいことはこれから起こるのかもしれないけれども、
こうして日々を精一杯送っている身には、その緊迫感がまだよくわからない。
ガソリンや石油の供給がほとんど止まっているから、
明日の自転車の確保をすることが生活の延長にある。
劇的なニュースをテレビで見るよりも、ラジオで人々がなにかを提供するとか協力するだとか、
そういうお知らせのほうが身に迫り真実味があると思うのはおかしいんだろうか。

今日も余震があるのだけれど、揺れていないのに揺れているように感じたりする。
三半規管がすこしおかしくなったかもしれない。
今夜の空には星があり、半月の月がかかっている。・・半と半、まるで駄洒落みたいだけど。



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作業場の倒壊現場


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悪い夢が覚めますように。


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悪い夢が終わりますように。




※感謝します

無事でよかったというコメントの数々、ほんとうにありがとうございます。
たいへんに嬉しく心強く、じんわりと読ませていただきました。
「死ぬ時は死ぬんだからさー」などと明るさを取り繕うのは嫌かな。
淡々と生活しつづけなくちゃいけないな、と思っているところです。
見守っていてね。

本来ならば、コメントをくだすったおひとりおひとりにお返事コメントをしたいのですが、
こうしてまとめてお礼を述べることをお許しください。

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by noone-sei | 2011-03-13 23:12 | 数のない夜(23)


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