94夜 謹賀新年


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年末に男ともだちと飲んだら、「ぼくは二十五歳くらいまでにベースができてしまって、
それからちっとも変わっていない。」と言う。
それが残念そうなので、つまり変化を成長と捉えているのだろうかと考える。
「わたしはいつも変化を好むからいつがベースだったかがわからない。」
そう言ったら、「セイはチャレンジャーだからなぁ。」と評された。

その晩は、王様とわたしはひとつ忘年会の約束があったので、
それを終えて遅くなってから男ともだちの家に行った。
部屋は薪ストーヴで温まっており、テーブルには美しいグラスと飲み物と
つまみにスモークタンとチーズが用意してあって、間接照明が気持ちよかった。
わたしはすでにへべへべだったので、その家のえらく太った猫をかまっていじめ、
音楽にイタリアンロックだとか村治佳織の古楽だとか、あれこれと所望し、
スティングの映画音楽は「Until」の三拍子が好きだとか、
そもそもなぜわたしの好きな音楽がここんちにあるんだ、などと喋った。
音楽のほかにも、鰐号のこと、精神医学のことなどなど、
脈絡なく酔いに任せてぺらぺらと喋り、自律の箍(たが)をすっかり外した。

外は冷え冷え、スェーデン住宅のテラスは広くてテーブルもあったので、
コートを着て外に出て飲んだら、冬の星座を王様と男ともだちは教えてくれたんだが、
星は人一倍美しく見られる環境で育ったのにもかかわらずさっぱりわからない。
ただただ口を開けて空を見ていた。

                        

・・こんなふうにへべへべをほったらかしておいてくれるともだちや、
へべへべ話をこうして書いても笑って読んでくれるであろう「王様の千と線」の読み手が
ここにいてくれることを こころから幸いに思う。



もうじき五百の夜話が終わろうとしています。
今年もよろしくおつきあいください。


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正月の重ね餅の上にはみかんを載せるものだと思っていたら、
昔は干し柿を載せていたんだと塾の大家のばあちゃんに聞いて驚いた。
この地は渋柿が大半で、焼酎で渋を抜くか干して甘くする。
綺麗に粉を吹いた干し柿を今年も大家のばあちゃんは餅に載せているんだろうか。
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by noone-sei | 2011-01-03 00:10


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