毎日、網で掬ってアオコを退治していると、 池で生まれた小さな鯉より大きいカエルが、ぼちゃんと飛び出したり飛び込んだりする。 一方、鰐が家には居ついてしまい、毎日、のたくたと茶の間を出たり入ったりする。 言うまでもなく、鰐とは一応人間の鰐号である。 旅行の費用を稼ぎに泊まり込みでアルバイトに精を出し、帰ったらアパートに戻らず居ついた。 友人のご子息は帰省して初給料で親に馳走し、 父の誕生日にはワインとチーズを送ってきたとのこと。 その成長にじんとなっていたら、わたしも鰐号に現金を貰った。 アパートに引っ越す時に残していった古本やDVDを引き取ってくれるところを見つけたので、 段ボールにひとつ送らせたら旅費の五千円になった。言うまでもなく艶物ばかりである。 泊まり込みから帰りその金を手にすると、 稼ぎが十分になったからこの金はかあちゃんにやる、というわけで、 どういう心境かわたしにくれた。 夏からこの秋、まとまった時間がとれず忙しかった。 「つづきはまたあした」で終えた74夜なのに、わたしの「あした」は二週間だ。 でもやっぱり「つづきはまたあした」って、とてもいい言葉。 ついこの間細い細い三角のような月を見たのに、いや月が三角であるはずはないんだが、 月のあしたは数日経って中秋の名月になった。 青い夕暮れを犬と散歩すると日の暮れが速い。 帰り足の空は夕闇にコウモリが飛び去る。 地面はぺたんと何かが脚に張り付き飛び跳ねたのはカエルだった。 うちの池に帰るカエルではないだろうけれど。 ・・そうそう、鰐号は三日前から野球観戦の旅に出た。 二週間は帰らない。 * * 今夜は、狭いところからより狭いところに入り込むようなお写真を。 □京都文化博物館の内部 ・ ・ ・ 『感覚』 アルチュール・ランボオ(堀口大學:訳) 夏の夕暮れ青い頃 行こう楽しく小径沿い 麦穂に刺され、草を踏み 夢心地、あなうら爽(さや)に 吹く風に髪なぶらせて! 物言わず、ものも思わず、 愛のみが心に湧いて、 さすらいの子のごと遠く僕は行く 天地(あめつち)の果てしかけ 女なぞ連れたみたいに満ち足りて サントリーローヤル ランボオ編 ---------------------commercial message by Excite Japan Co., Ltd.--------------------------
by noone-sei
| 2010-09-22 03:56
| ときおりの休息 参(12)
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