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50夜 綿羊ロード


ひとには生来というものがある。
生来そのままならばさぞ面白かろうが、それでは世は生きにくい。
だから、表層のふるまいという、のちに得た蓋の力を各々が借りている。

蓋の下にあるものを想像したらこわい。
けれどこわいもの見たさということもある。

書くということは井戸の蓋をほんのちょっとずらすこと。
読むということは井戸の水を見てしまうこと。
水が澄んでいるか濁っているかは見るまでわからない。

怪かしと出会うような森に迷ったら、
井戸の底の物語は、見ても忘れてしまうがいい。
そのまま森へ置いてくることだ。



                        * * *



今夜は50夜。
「王様の千と線」は、百夜話の半分、【その後(五)の百夜話】の折り返しにきた。
100夜はいつになるだろう。これまでは冬に終えていたのだったけど。

この、ウェブログというものにこれまでひそやかにお話を書いてきた。
世にはもっと仲間内のものやひとりつぶやきをするものなど、方法があれこれとある。
わたしときたら、初めは写真機も持っておらず、コメント欄も開けておらず、
パーソナルでそっけない口調で、どうなることやらの歩みだった。
はるばると読みに訪れてくれる読み手がいるということもよく知らなかった。

この数年、閉じてしまうウェブログや、不都合が起こったウェブログや、
開いているけれども休んでいるウェブログや、運営者が亡くなってしまったウェブログなど、
予告なしになにかは起こり、永遠ではないことも知った。
交流はなく静かに読んでいただけだったから、静かに悲しんだり案じたりするほかない。

【その後(五)の百夜話】では、読まれるこわさに、わたしもいっそ閉じてしまおうとした。
「喪失は無理矢理やって来るけれど、再生は自分の気持ちと力で呼び寄せられるかもしれない」
そんな励ましを戴いて、ひとりの時間を逃げずに、そしておずおずと歩いてみた。
不器用だけれど、これからもこのようにしておずおずと書き続けられるものならと思う。
静かに見つめてくれた皆さまにこころから感謝している。



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ふきのとうが採れた。



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まだ不出来な自家製パン。材料をパン焼き器に入れるだけなのだけれど。
摘んできたクレソンとルッコラのサラダと一緒に。







綿羊ロードは犬との散歩道。

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赤ちゃん綿羊がいるんだよ。見に行く?
シワ コ :はい。行きましょう。
ペロ コ :よしっ。行くっ。


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ほうら、いたいた。


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こっちに気がついたよ。


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少し前までは体中まっくろだったのに、
だんだん体に毛が生えて、黒い顔と黒い長靴になってきた。あっという間に大きくなっちゃった。
びょんびょん縦飛びするんだよ、ペロ コ にそっくりだ。


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母綿羊のお腹の下にもぐって遊んでる。子どもだから尻尾がまだあるね。


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おぉーい、もう帰るよー。

ところで、これはここだけのお話。
ペロ コ は立ったまま脚一本で腹を掻き、尻尾の付け根を揉んでやると片脚ずつシコを踏むので、
名を与えようと思う。 ・・ペロ錦。
ペロニシキだとロシアのパンみたいなので、やっぱり漢字表記がいいかな。
by noone-sei | 2010-03-18 03:31


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