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7夜 十年ひとむかし


イヴだね。

わが家の獣たちのおはなし。

あくびはうつるのだそうだ。
獣から獣へ、獣からヒトへ、ヒトから獣へ。

猫の一日。
寝てばかりのテン コ はほんとによく寝る。
寝児か寝子か、だからネコというのだとか。

朝のお勤めはテン コ 独経。
鳥は天気に敏感で、嵐の後には終焉を知らせるように庭にやってきて地面を歩く。
朝には庭を点検するように地面に降り立つ。
鳥のその様を窓越しに見て、奇妙なくるくるというような声を立てたり、
人の気配に七色の声を立てたり。
そしていよいよ飯だ飯だと経は佳境に入る。

夜には王様の読み聞かせ。
そこはやっぱり門前の小僧、
この場合の門とは、神社の鳥居ではなく寺の山門のことね。
うにゃぁむにゃむにゃと呟いて、あくびをしてから寝る。

その頃には犬たちも落ち着き、皆あくびをしてから寝る。
神主がしゃっしゃっと幣束(へいそく)を神前でふるだろう?
あれと同じで、寝ながらときおり尻尾をふる。

ところでカラスは賢くて、遊ぶということを知っているというが、
なぶりながら生かさず殺さず喰いもせず遊ぶのは猫だけじゃないのか?
ブチ コ はアク コ に生き餌(え)を食わせていたから必ず仕留めたけれども、
餌を獲る必要のないテン コ が備えている遊ぶという野生を 本能というには抵抗がある。


さて、テン コ の母親役、はなちゃんの見守り、ビー コ 改めビーナの指南役と、
気のいいペロ コ にわたしは感謝しきれないんだが、
そのペロ コ が夏に十歳になった。
今ではぎゅーっと働いては稼いだ金を握りしめて外(と)つ国を旅する鰐号が、
十歳の祝いに犬用誕生ケーキを買ってやった。
鰐という獣だった鰐号が、思えばひきこもりや留年をして上京し、
今では昨年だけでヨーロッパとアジア諸国を幾度も旅しているだなんて、
そしてわたしたち親や、妹のような獣たちに土産まで買ってくるなんて、
人の世はわからないことだらけだ。あ、ちがった。 …獣の世界だった。




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こんなにちびだったのに

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こんなに大きくなって

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こんなことまでやらかす。

おだやかなイヴはこともなし。



# by NOONE-sei | 2018-12-24 23:43 | Comments(0)

6夜 旅をしよう


イヴだね。
王様の千と線を始めてもう何度目のイヴだろう。

あちこち行ったね。
いろいろ食べたね。
今夜は一緒に台湾に行こう。
台湾でごはんの旅って、どうかな?


朝の飛行機を降りたよ。朝ごはんだ。
豆乳を温めて最後に酢を入れるとふわふわになるんたよ。
味付けは干しエビと塩ね。
小麦粉のクレープは主食。

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あちこち歩いたね。
次はおやつだ。
「虫おさえ」って知っている?
腹の虫をちょと黙らせることだよ、ふふ
じゅわっと肉汁が出て、あわてて食べると口の中をやけどする小籠包をどうぞ。

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次はお昼ごはんだよ。
昔ながらの料理店に行こう。
スープとごはんと肉料理。
暑い国は果物が美味いよ。

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三時のお茶にしよう。
海の見える茶店で茶芸を。
お茶菓子は豆と梅と干した果物だよ。

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さあ夕暮れだ。
町に戻って夜になるのを眺めながら夕ごはんにしよう。

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ゆっくり散歩しながら帰ろう。
いい夢が見られるように。




よく眠れた?
優しい味の豆乳スープで目が覚めるよ。

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さあ、朝だよ。
メリークリスマス。

空を飛んで寒い国へ帰ろう。






# by NOONE-sei | 2017-12-24 11:54 | Comments(4)

5夜 贈られもの


時間がゆっくり流れているのはわたしだけか?
七月に書いたおはなしを寝かせたまま、九月の秋彼岸になってから載せた4夜から三ヶ月が過ぎた。

四月 花の盛りにはなちゃんが旅立ち、
七月 家族のご苦労さま会をしようと、鰐号に連れられて台湾に行った。
八月 人寄せやら仏事に追われる盆が過ぎ、
九月 秋彼岸を終えてから、それまでずっと離れていた浮世に戻った。

浮世は魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する怖ろしいところなので、
ひとりでこつこつと家の片づけに明け暮れ、譲り受けた家を機能させるのに忙しく暮らしていた。
そのようにして月日が過ぎて、やっとはなちゃんとの別れのおはなしを載せたのだけれども、
その間にも、わが家には大きな出来事があった。
子犬が来たのだ。
これを贈られものととらえよう。
子犬は八月二十八日に来た。その時の月齢は約三か月。

はなちゃんの葬儀と初七日を過ぎたあたりから、鰐号が、プロジェクトDを発動しようと言い始めた。
プロジェクトCでもいいんだがやっぱりDだろうと言う。

遠くの親戚より近くの他人というがその通りで、わたしはこの五年間多くの他人に世話になった。
だれがわたしたち家族を支えたかといったら、言葉では挙げきれないほどの多くのひとが
わたしたちに関わってくれた。
そのありがたい他人さまたちがみな、Dの発動を心待ちにしてくれた。
Dとはdog、Cとはcatのことである。

この子犬についてはまたこの次に書くこととして、まず紹介しなければ。
「王様の千と線」の登場人物、じゃなかった、新入りが入ったのだから。
名をビー コ と名付けた。 


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赤ん坊の時、保護主の所で。

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兄弟七匹で保護され、うち雌はビー コ のみ。

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三ヶ月、保護主から譲渡されてすぐ。

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わが家にて。

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すでに柴犬くらいの大きさだけれど、まだ子犬。
九月からのビー コ の成長はまたこの次に。



さ、イヴだね。
鰐号のスペイン土産のワインで乾杯しよう。
ありあわせのものばかりだけど、みんなでイヴの卓を囲んだら楽しい。
犬も猫も、新入りの犬になりたての贈られものも。

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# by NOONE-sei | 2016-12-25 01:11 | Comments(4)

4夜 人の噂も七十五日



ほんとうは七月にこのおはなしを書いていたのだけれど、カギをかけてしまっておいたよ。
はなちゃんは四月十七日にみまかりました。
案じてくれたかたがた、見守ってくれたかたがた、応援してくれたかたがたに深く感謝します。
そして、身内ではありますが、ずっとはなちゃんのそばにいてくれたペロ コ とテン コ に感謝します。
四月十七日はシワ コ の誕生日でした。
符牒を合わせようなどとは思わないけれども、なんとも不思議なことです。




人の噂も七十五日とは、世間で人があれこれ噂をしていても、それは長く続くものではなく、
やがて自然に忘れ去られてしまうものだということ。

忘れたいこと、忘れられないこと、忘れたほうがいいこと、忘れないほうがいいこと。

はなちゃんが父のもとへ去って、七十五日が経った。
毎日朝夕はヘルパーさんが車椅子に乗せて庭を見せたり庭に押していってくれたりしていて、
その晩にはいつものように梅酒を飲んで元気におやすみを言ったのに、
朝様子を見ると呼吸が止まってすぐだった。
そんなふうに呼吸に異状が起こり、すぐに吸引して持ち直させることがそれまでも数度あったけれど、
今度は引っ張り上げることができなかった。
救急車は呼ばず、家で蘇生の手を尽くし、お医者の指示を片手に持った電話で受けながら
「心臓を押すその手を止めなさい。はなこさんもう充分にがんばった。きっと苦しくなかったよ。」
そう言われてやっと引き戻せないことを知った。



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今日は秋の彼岸。庭の彼岸花が真っ赤に咲いている。
もうそろそろはなちゃんにお別れをいわなくちゃ。

はなちゃん、さよなら。
おとうさんがずっと待っていた安達太良山に行ったんだね。




     
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# by NOONE-sei | 2016-07-01 03:34 | Comments(5)

3夜 梅雨だから 


暑かったりひんやりと涼しかったり、気温の変化が厳しい。
草木がどんどん伸びるので、庭の手入れをしていたら日に焼けて真っ黒になった。
海に行ったと見栄を張ろうかな。


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花が咲くとうれしい。


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今年の玉ねぎの収穫はすばらしい。王様が気を良くしている。


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犬は草を食うのに忙しい。


海ではないのだけれど、ちょっとでかけてきます。
# by NOONE-sei | 2016-06-30 23:43 | Comments(4)