<   2012年 06月 ( 2 )   > この月の画像一覧

52夜 していい話


世にはしていい話としちゃいけない話があるらしい。
したほうがいい話としないほうがいい話というのもあるらしいが、
それは大人度が高すぎて、わたしにはちょと難しすぎる。

我慢度の高い王様には、ひとりで背負って我慢しきる前に、
途中途中で小出しに状況を口にするようにちょくちょく頼んでいるのだが、
やせ我慢を続けるとろくなことはない。
我慢がたまると小太りおじさんになってしまうよ。

王様の普段の愉しみは、基本的には読書と喫茶店とコーヒーと洋菓子。
結婚するまでこの地を知らなかったから、どうせ田舎で暮らすなら
山や湖沼や温泉を観光客のように愉しもうと、基本に風呂も加えた。
よく、「土地の人になったんだねぇ」と、馴染んださまをいう言葉があるけれども、
王様は土地の人にはならずにずっと観光客のようにこの地を見てゆくと言う。
・・都会で生まれ育ったひとの、それは自尊心なんだろうか。

この地の男たちは、初めから打ち解けるということが難しい。
表情も言葉も乏しいので、ちょくちょく顔を合わすとか、酒が入るとか、
脈を見ながら時間がかかる。
王様がこの地に住んでずいぶんになるけれども、言葉の抑揚もリズムもやっぱり違う。
馴染むにはたいへんだったろう。

その王様が、日曜日ごとに、お百姓になっている。
日頃なんにも言わないでうちの畑を見守っていたらしい近隣のおじさんたちが、
近頃、野菜や果物の苗をひょいっとくれるようになってきたのだ。
母がもう畑を維持できないので、王様が時々てこ入れをしていたんだが、
どうやらそのまたてこ入れをしようとしてくれているらしい。
王様とおじさんたちが顔を合わすことはほとんどない。
つまり、おじさんたちには、結果でものを言わなくちゃならないということ。
念のため書くが、王様は畑仕事が好きなわけじゃない。

おじさんたちは、苗が風に揺れて弱らないようにと、
添え木と茎を繋ぐ紙テープまで用意してくれる。
おじさんたちが教えてくれることを王様に伝えるのはわたし。
いい通訳になっているとも思えないが、
おじさんたちと王様は無言の会話をしているのだろうな。

世にあるしていい話としちゃいけない話。
王様とおじさんたちのは、そのどちらでもない、いい話?



□本当のお百姓さん
c0002408_3353460.jpg
秋に向けて摘果の済んだ梨棚。


c0002408_3354488.jpg
こんなふうに梨の実が付いているのは初めて知った。
ところで、「なし」は験(げん)が悪いから、産地の人々は「ありの実」と呼ぶ。



□遠くから来たもの
同じ日本だけれど海を越えて遠くから来たもの
c0002408_340318.jpg
わたしにバケツ一杯食えと届いたソラマメ。食いましたとも。


c0002408_3404137.jpg
料理もしましたとも。


c0002408_340523.jpg
めずらしい柑橘、美生柑(みしょうかん)。あばたもえくぼ、ってわたしのこと?
実は爽やかで、皮は風呂に浮かべると贅沢な香り。

獣の日常
[PR]
by NOONE-sei | 2012-06-14 01:10

51夜 鴨の足千鳥足

 ・あの生き物が嫌な人は読まないほうがいい


青息吐息で50夜の折り返しを過ぎた。
ゆるゆるとあと五十の夜話を歩く。
今夜はその折り返しに相応しい、おかしな動物たちのおはなしを。



ある日、一日の出来事。

帰り足の頃、通勤の車が多くなる夕暮れ。
王様が妙な渋滞に出くわした。
なにかと思ったらカルガモが道路を横断中。
左の田んぼから右の田んぼによちよち。
カルガモにしてみれば、田んぼの中に道路があるのだから仕方がない。
あのカルガモは田んぼの主のお百姓が飼っているんだろうか。
田んぼで仕事を終え、家路につくところなんだろうか。

週に一度高速バスで東京から来て大学の授業を受けて帰る鰐号。
一晩泊まってゆくのでこれ幸いと留守番をさせ、王様と夜の町に出た。
人通りは少ないがたまに車が通る道、
おじいさんが赤信号なぞないかのごとく、みごとなへべへべ。
久しぶりに正統な千鳥足を見た。
おじいさんにはわるいが、とってつけたような背広姿、
きっとなにかの寄り合いで、愉しい宴席だったんだろう、いいものを見せてもらった。
まさかもう一軒なんて言わずに真っ直ぐ家へお帰りよ。

それから路地にゆくと、パトカーが停まっていた。
その横を通り過ぎる時に見たのは、後部座席で両手に花ならぬ、両側に警官のおじいさん。
すっかり出来上がっている。
パトカーの向かいには古くからの焼き鳥屋、たらふく飲んでへべへべで
とぐろならぬくだを巻いて警官が呼ばれたんだろう。
よくよく諭されて、無罪放免、家に帰るのだろうか。

王様がくすくす笑って、あれはきっと、おじいさんがふたり喧嘩して、
引き剥がされてひとりは千鳥足でとぼとぼ帰り、
ひとりは大トラだものだからパトカーの中で熱く語っているんだ、
そんな勝手な物語を組み立てる。

いやいや王様、
鴨も千鳥も虎も可愛いけれどね、
わたしは今日、長いものを見たよ。
それが道路を横断していたものだから、アクセルを踏んで急いで通り過ぎた。
鴨も千鳥も虎も、ちょっと遠くの家に帰るのだろうけれど、
どうも長いものは、うちの近くの川が家らしくて。
足も無いのにあんな長いものも家には帰るんだねぇ。




今夜のお写真は、安達太良山を。



□春に見た安達太良
c0002408_4145186.jpg
うちの近くから望む安達太良山。まだ四月末、桃の花の頃。




□五月中旬 安達太良山開き
c0002408_4165863.jpg
母を連れて安達太良まで。
頂上まではもう無理なので、ゴンドラを降りたところ勢至平から頂上を見ることにした。


c0002408_417991.jpg
向こうのぽちっとした所が山頂。


c0002408_4172555.jpg
山頂から降りてきた登山者。


c0002408_4174244.jpg
こんな登山道。




□ゴンドラからの景色
c0002408_4235649.jpg
風もなく良く晴れた日。


c0002408_424566.jpg
山桜が見える。




□乗り物
c0002408_428325.jpg
ゴンドラの乗り場。


c0002408_4284283.jpg
自衛隊の救護車。


c0002408_4291325.jpg
除雪車。




□遊歩道へ
c0002408_430312.jpg
道標。


c0002408_4301733.jpg
これはなんという花?


c0002408_4303242.jpg
渓流。


c0002408_4304134.jpg
まるで自分の体よりも大きな荷物を背負ったような子どもの後ろ姿。
[PR]
by NOONE-sei | 2012-06-06 01:53