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28夜 夏の話  


◆本日の百ケ日連打
「いつともなしに打ってきた百ケ日連打はおしまい。」


夏の高校野球、県大会を観てきたよ。
映画も観たよ。
さくらんぼもスイカもブドウも食べたよ。
山でカナカナゼミの声を聴いたよ。
・・うるわしのミイラ女にもなったよ。

大好きなマンゴーを貰って、嬉しくてすぐに食った。
お礼の連絡をしたら、
「若いとかぶれることがあるから気をつけて」と言われた。
わたし、
「あらぁ、若くないからだいじょうぶよ~。」
友人、
「ちがうちがう、マンゴーのこと~。」
主語抜けの会話で久しくなかったくらい笑って、美味しく頂いた旨を伝えたら、
翌日、口や目の周りがかゆくなってかぶれた。

マンゴーがウルシの仲間なのだって知っていた?
わたしはぜんぜん知らなかったよ。
食い意地でバチが当たったと友人にその話をしたら、
友人から、
「セイさん、仏壇に上げないですぐ食べたでしょ。
熟すまで仏壇に見ていてもらわなかったから仏さまから怒られたね~。」
と笑われた。

うちの仏壇にいる仏はバチを当てるとも思えないが、
久しぶりにかせて(かぶれて)、顔に油っぽい薬を塗り、
包帯こそ巻かなかったが、まんじゅうのような顔で数日を過ごした。
うる(わ)しのミイラ女は、うる(わ)しのまんじゅう女に進化したというわけ。



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このチームが甲子園にゆくことになった。
地区大会では吹奏楽の応援がないので、球児が大いに歌い、踊って盛り上げる。
甲子園には他校が吹奏楽で応援に行ってくれる。


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試合終了のあいさつ。


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例年は入場料を払うのだけれど、この球場のすぐそばの体育館が原発避難所になっており、
皆が観戦できるよう無料だった。
応援を終えて球場を出てすぐのところに自衛隊災害派遣車で作った仮設テントの風呂があった。
いつもどおりではない。けれども、いつもどおりに高校野球はあり、観戦できて嬉しい。


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六月のさくらんぼ。


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七月のスイカ。

2100グラム
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by noone-sei | 2011-07-30 00:10 | 百ケ日連打(9)

27夜 去年のいまごろ


◆本日の百ケ日連打
「チーム相双(そうそう)、がんばれ」
原発避難でばらばらにされた高校の野球部が、夏の大会に特段の配慮で
県立高校三校の連合チームとして出場する。応援しているよ。


                    *


去年のいまごろは、阪神対巨人戦を観に甲子園球場に行くところだった。
大雨で直前に試合が流れたため、わたしは大阪には行ったものの、
球場には行かずじまいだった。

去年は高校野球の地区大会も観戦した。
応援の演奏や歌が楽しい。
「アッコちゃーん、アッコちゃーん、すきすきー」って、不思議な歌が特に好き。
調べてみたよ。
『すきすきソング』 歌:水森亜土 だって。
あの歌、ちゃんと題名があったのね。

野球のルールもよく知らないけれど、
球場のうねりってどうして血が騒ぐんだろう。
もちろん、プロ野球観戦は弁当とビールが一番のお楽しみなんだけれども。

鰐号が今、甲子園に行っている。
バイトで貯めたなけなしの金を握り締めて。
そんなに好きか、野球。いやいや、阪神が好きなんだなぁ。
その阪神、昨日も今日も勝った。
鰐号はきっと、「六甲おろし」の大合唱の真っ只中だろう。
球場は大きなうねりに包まれている。
立て続けの余震はそのせい?いやまさか。


                      *


■今年のもの
去年はどぶろくとミードを作った。
五十嵐大介の漫画「リトルフォレスト」に出てくる、米サワーというのが
どぶろくの元なので飲んでみたかったから。

お写真は今年作ったもの、いろいろ

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行者にんにくの塩漬け
刻んで肉と炒めたりエキゾチックな鍋の薬味にしたりカツオの刺身に載せたり。


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塩レモンと塩ライム
くし型に切った国産の実をビンに入れ、きつく塩をするだけ。
刻んで料理の下味に使ったりドレッシングに入れたり、味に深みが出て重宝する。


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梅を塩昆布と醤油に漬けるところ。
漬かったら梅と梅醤油は別にして使う。
隣は面白そうなので購入したドライ食品。さくらんぼ・トマト・野菜チップ。


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ちいさいイチゴがたくさん手に入ったので、イチゴシロップ。
隣はニンジンときゅうりの酢漬け。


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これはおまけ。ちいさいイチゴよりももっとちいさいイチゴ。
美生柑などの大きなみかんをむいて野菜サラダにする時に一緒に混ぜると美味い。
オリーブオイルと岩塩と挽きコショウで。
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by noone-sei | 2011-07-14 00:10 | 百ケ日連打(9)

26夜 草食系と肉食系


 ・今夜の話に引き寄せられる人は読まないほうがいい


大学の帰りに、肉屋に寄ることがある。
この地では老舗の肉屋、すばらしい肉の数々。でも高級なので見るだけ、買うのは惣菜。
コロッケなら肉屋のコロッケに勝るものはないとわたしは思っていて、
だから家でコロッケを揚げることはほとんどない。 ・・いや本当は、
肉屋の売り値と美味さに、わたしが手作りしても労力ばかりでぜんぜん見合わないから。
巷(ちまた)では人間の傾向に草食系と肉食系という分類があるとか。
王様はコロッケが大好きな草食系であり、ほどほどの肉食系でもあり。
その日、肉屋で野菜を貰った。
「これ、もしよかったらどうぞ。」
上下とも真っ白な制服を着た肉屋のおねえさんが、
中玉の可愛い地物の新たまねぎを数個、袋に入れてくれた。

たまに行く喫茶店で会ったおじさんが、とても立腹だった。
奥方が県外の縁者に宅配便でこちらの菓子を送ったら、受け取り拒否で戻ってきたという話。
この地から汚染が来たというイメージを持って恐怖するわけだ。
その話を聞かされた店主もわたしもがっくり。
おじさんはあまりの立腹に早口の横浜弁。「剥がした表土でも送りつけてやろうか」と言う。
わたしは口をあんぐり開けていたけれど、気を取り直してゆっくりと言ってみた。
「前もって、こっちの物を送ってもいい?って聞ける相手じゃなかったんですか?」
するとおじさん、
「僕らが今住んでいる所の、安全基準を満たした物を送っちゃいけないの?」
わたし、
「いやいや、お気持ちはすごくよくわかりますよ。
でも住んでいる所が違えば感じ方もちがうかもしれないでしょう?
こちらの物を・・という気持ちを汲んでくれるかどうかは難しいですよ、こんな時だから。
こうならないように、ああ思われないように、って
先々(さきざき)をいつも点検しながら摩擦を避けるのが、
ここいらへんの人たちの暮らし方や考え方の特徴じゃないでしょうか?」
おじさん、
「僕はねぇ、間違ったことをしてないんだから、それまどろっこしいなぁ。
みんなそうやって考えてるの?」
店主、
「もう。ほんとに子どもみたいなんだからっ。」
叱ってもらうのが会話の妙味なのか、おじさんはいつもこんな感じ。

このおじさんの家では、肉が食卓の主なのだそうだ。
うーん、肉食人種、強い強い。


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◆本日の百ケ日連打
「原子という言葉なら化学。原子力は擬似科学。力が入ると途端に失速する。」
原子力発電所という文字は見るのも書くのもぞっとする砂上の城。



311から四ケ月が経った。
忘れるなと言わんばかりに、長い余震で恐怖が蘇る。
子ども達は積算放射線量計を持たされることになった。

同じ地域にいながら温度差が大きくて、
近くの人たちとさえ迂闊に話すことはちょっとはばかられる。
平静の下にどんな水が流れているのか、計り知れないから。
それは線量計でも計測できないんだ。

年寄りは原発避難の足手まといになるから、と、
あっちに避難こっちに避難でばらばらになった家族の崩壊を悲観して自死した老女が、
「おはかにひなんします」という遺書を残した。
原発の収束は数十年単位と発表された。
さすがに言いたくなったよ。
政治の椅子取りごっこと押し付け合いは大概にしなさい。



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回覧板にはこんなお知らせが。伏字には金平糖を載せてみたよ。


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高校生の学ぶ場。ちゃんと制服を着ているんだなぁ。


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新聞はテレビの報道よりも緊迫感がある。


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ウルトラ文字というのを初めて見た。でもがんばろうって言わないで。


     
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by noone-sei | 2011-07-13 00:10 | 百ケ日連打(9)

24夜 わからないことばかり


◆本日の百ケ日連打
「線量計を見た」
よかれと計ってくれなくていいから。




ラジオで本日の線量を天気予報みたいに普通に放送してる。

あっちでもこっちでも、識者を呼んで講演会が盛ん。
聴いたら怖くなって電話をかけてくる人がいる。
わからないことばかりで不安になるって。

見えないものはこわくないと言う人もいる。

やっと手に入れたと線量計を得意げに見せるおじさんに、計ってもらわなくて結構だと言えない。
線量計って簡単に略すけど、「放射線量測定器」のことなんだけど恐くない?

種の起源は放射能で活性化したから、その後の変化や進化が研究できる?

低放射線治療をタダで受けて白血病の予防ができるね、って、そうなの?

それなら、突然変異でガンダムのニュータイプが出現すると言うほうが、
わたしにはどの話よりわかりやすいな。

宇宙線って放射能なの?
そうそう、宇宙船に乗るなら誰を連れて行くかという質問があったっけ。
まず子ども。お母さん。保母さん。次にお百姓さん。大工さん。子どものために医者。
宇宙船の運転手。・・運転手って言わないの?
わたしが選んだ、役割を持っている人はこれだけ。
ほかに必要な人はだれ?



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毎日ちくちくと縫い進めていたこの手仕事、今日、ちゃんと出来上がりました。


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鰐号が十日遅れの父の日の贈り物。
おつかれさまです、なんて書いてある。湿布付きというのが可笑しい。
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by noone-sei | 2011-07-06 00:10 | 百ケ日連打(9)

25夜 くしゃみ


友人のところでいい文章を読んだ。
あんまり可愛いので、
そのまま載せさせてもらっちゃおう。

           ・・・・・

くしゃみが出そうだけど出ない時、
私はお日様を見ると「くしゅん!」と出ます。スッキリと。
お日様を見られない屋内や、夜、なんかは
丸い電球を見つめると「くしゅん!」と出ます。

人にこの話をしたことがあるのですが、ちょっと珍しがられました。
そう?
珍しいの?これ。

電球が傘から半分くらい出ている、半球の状態のを見ても
出ます。「くしゅん!」


            ・・・・・

とても可愛い。

ところでわたしは猫のくしゃみを初めて聞いた。
「くしゅん!」じゃなかった。
猫はアシカ?アザラシ? 
・・「ぷしゅっ!」
ちょと可愛くない。

1750グラム
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by noone-sei | 2011-07-06 00:10

23夜 おいしい音楽


◆本日の百ケ日連打
「夢だからだったんだ」
今になってやっと気づいたよ。



友人から電話、急に行けなくなった演奏会に代わりに行ってくれないか、
出演者がチャリティで開いてくれる会だから無駄にしちゃわるいんだ、と。

人の体から生まれる音声は生々しくて、毛穴から聴く者の体に入る。
それが快だったり不快だったり、抗(あらが)えなくておたおたしたりする。
311以来、努めて平静を保とうとしてはいるが、
平静を装っているだけのまともでない神経だと自分で自覚があるので、
歌を体に入れるのはどうかなぁと迷った。
でも、三ヵ月が経ち百ケ日を過ぎて、
あさってのことはわからなくとも、今日と明日を楽しんで暮らそうと決めたんだから、
とにかくお誘いを受けたら断らないの精神で行ってみた。

歌の上手いミュージカル女優でよく知られる歌い手がピアノ一台で歌を聴かせてくれて、
わたしの好きな「Your Song - 僕の歌は君の歌」(エルトン・ジョン)も聴けて嬉しかった。
井上ひさしと仕事をしたのがきっかけで日本の民謡をピアノで歌うようになったのだとか、
初めて披露するという民謡「新相馬節」、その歌詞に泣けてきた。やっぱりまともじゃない。
この唄は離れた故郷を思慕する詞で、もともと即興で詞をつけたりするものらしく、
彼女はどこにもない歌詞で歌った。牛はどうしているか、と。

311の直後、物資も流通も交通も滞ったとき、わたしは日用品より洋菓子が欲しかった。
あとで聞いたら、あのときパンがどうしても食べたかったとか、ケーキに飢えていたとか、
みんなが言った。わたしだけじゃなかったんだ。
農業県だから、米は結構備蓄がある。それでもパンってなに?
パンも甘い菓子も音楽も本も、夢のあるもの。
皆、そういうものが欲しかったんだなぁ。


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五月のケーク・サレ かぼちゃ入り


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六月のケーキ 干し柿とマーマレード入り
どちらもレシピがない、テキトーケーキ。四月は材料が手に入らなくて作れなかった。




Your Song  日本語訳

新相馬節
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by noone-sei | 2011-07-03 00:10 | 百ケ日連打(9)

22夜 六月の森


◆本日の百ケ日連打
「天気、わたしをなめてんの?」
天気に呼びかけたところで応えやしない。



梅雨入りは肌寒くて、一旦しまったこたつ掛けをまた出した。
長い長い梅雨、晴れ間には虹を見て喜んでいたら、ここ数日の暑さには参る。

暑いと血管が広がって血圧が下がる。
するとただでさえぼぉっとしているのに、なおなおぼぉっとしたセイの出来上がり。

山の中の森で働いている友人が、
「うちの職場は冷暗所なのよね。山の冷気で建物がひんやりしてるの。
一応冷暗所と言っておくけど、ほんとは内輪では霊安所で通ってる。視える人もいるし。
たまたま働いている人たちみんな血圧低いし。」
なんだそれは。

山の霊の話や、山で死んだ動物を見て不憫に思ったら肩に乗って付いてきて、
整体院に行ったら整体師も視える人でよく揉んでもらったら軽くなったって。とか、
とりだてて特別なことのようには語らないからちっとも怖くない話の数々。
小さなときから視えているから、その人には当たり前のことなんだという。

311の前に、大切に思っているひとには大切だと伝えるよ、と、連絡を取った。
唐突なので不審な印象を与えてもいけないと思い、
今はまだなにかあるというわけではないけれど、という但し書きもつけた。
311の後、巷(ちまた)には予言があっただとか予感がしただとか、
さもそれらしいいいかげんな流布がさまざまあったが、
それらはわたしの行ないとは別のところにあるように感じた。
連絡を取らなきゃ、と思った源を さして自分では訝(いぶか)しくも思わなかったが、
今でも、何故それをしようとしたのかはよくわからない。


                             *


今夜のお写真は、六月初めに歩いた近くの森。
避難者も大勢参加しての歩く会。
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暴れる川の治水には大昔から知恵を出して臨んでいた。



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森の水の流れ。



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立ち枯れた樹や株。



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タイサンボクというのだったか。 追って:ほんとうはホオの木の花や葉だと知った。
てんぷらにしたいような肉厚の花。でも香りが強くて食べられない。



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花や花や葉。名前がわからない。


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歩き終えると振る舞われたおにぎりと豚汁。
じゃがいもだったので芋煮とは言わない。芋煮は秋の里芋でなくちゃ。
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by noone-sei | 2011-07-02 00:53 | 百ケ日連打(9)

21夜 なかなおり


 ・19夜からつづく話

また月が変わった。今日から七月、明日は半夏生(はんげしょう)。
なんともあやしげな言葉じゃないか?

一年のうちでいちばん日が長かった夏至、それから十一日ののちが半夏生とは、
なにやら中途半端でおぼつかない。半夏生とは一年のうちの中休み?
これから日は短くなる一方なのだよ、と、そう言う前に、
暦(こよみ)というものは何故ひと呼吸おくんだろう。

なかなおりという言葉がある。
中治りというのか仲直りというのか中直りというのか、相応しい漢字をわたしは知らない。

それは生を終える前の「なかなおり」といって、驚くくらい一時的に元気になること。
別れのために設けられた自然の猶予なんだろうか。
ほんの一日やせいぜい数日あるかないかの不思議な時間で、
年寄りたちはつれあいを見送ったあとなどに、しみじみ振り返って
「あれはなかなおりだったのかもしれないナイ」と言う。
わたしにはそれが、連れ添った夫婦の、別れを前にした「仲直り」に聞こえる。





◆本日の百ケ日連打
「暦をめくっていた」
鰐号が東京に行ってしばらく過ぎた。
いくつかのトラブルを抱えながらも、この地に戻りたいとはまだ言わない。
だから戻れるようそのままにしておいたアパートを引き払うことにした。
震災で、たてこもりだかひきこもりだかから急に炙(あぶ)り出されたから、
部屋は三月十日そのままだ。
片付けに入ったら暦を見つけた。三月までめくってある。
鰐号のたてこもり半年間はなにもかも停止していると思っていたら、時間は動いていたのだな。
昨日、鰐号は用足しのために二日ばかりの帰省をした。
十日遅れの父の日の贈り物も持って。



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鰐号の荷物を作業場に入れる準備で汗を流した父の日。
ごほうびは十割蕎麦と夕暮れの甘いもの。ほとんど喧嘩はないので仲直りはない。
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by noone-sei | 2011-07-01 00:10 | 百ケ日連打(9)