カテゴリ:仮想紀行(4)( 4 )

仮想紀行 四


地名はその土地の歴史を表わす。
「谷地」といえば昔は湿地だったか、と想像し、「塚」が付けば墓所があったか、と
ほんの少し寒くなる。
「山王」といえば神社の神聖な山だし、「堰」が付けば近くに暴れ川があったか、と
川沿いの集落を想像する。

堰を切る、という。
堰を切ったら塞(ふさ)ぎ止めていたものが溢れ出してしまう。
「せき止める」を調べたら、「塞止める」と「堰止める」があった。
そもそも「堰」とは、流水口に作った、取り外したり半分だけ開(あ)けたり
水流を調節するための垣。

耐えがたく悲しいことがあるとする。
人間には、神様が「忘れる」という贈り物をくれた。
それに加えて、悲しみの表出を露骨にすることを恥じる、誇り高い種類の人間もいる。
そして「堰」を作る。

昔、王様は、母を亡くした時に泣かなかった。
わたしは肉親を失ったことがまだないので、男の我慢とはこうしたものなのかと思った。
けれど、そのあと体調を崩したり仕事がうまくいかなかったり、不調続きだった。
気分が塞ぐわけでもやけになるわけでもなく、淡々としていながら不調は続いた。
振り返れば、「堰」で、全水流を止めていたんだろう。
無意識に作った「堰」だった。

感情抑制の効いた人、理性が克(か)った人は、美の徳を重んじる。
けれど、「堰」はときどき開けたほうが健康かもしれない。
・・「堰」。わざわざ自然の流れに逆らうものを作ったわけだから、使えばいいのだ、
「堰(塞)止めた」ままでは、いずれその水は濁って澱みになる。
涙という水であるうちに、人はときに、「堰」を切ってしまってもいいんだ。

さて、こちらは大規模な「堰」。水力発電のダム。この峠を越えると山形県。
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なんだか、この人工的な「堰」は恐い。湖底には村落がまるごと沈んだ。
ダム湖のほとりに立つと、足元がおぼつかなくてさわさわする。


これはおまけ
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ミニチュアの重機類。精巧にできているなぁ。

・・・追って
摺上川の、このダム建設によって、縄文の遺跡も湖底に眠っている。今のこの地の名は、ダムっ湖。
地名は歴史を表わすから、上質な果樹栽培のこの地には、果樹にちなんだ地名もあったのになぁ・・。
ここで得られる電力は、この地には還元されず、関東に供給されるというのは、つらいお話。

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by NOONE-sei | 2006-02-26 02:13 | 仮想紀行(4)

仮想紀行 参


雪のまつりは神事と深く結びついている。
二月初旬を わたしは春と呼ぶのをためらう。
雪の夜、神社に参るまつりが終わるまでは、雪があってもなくても冬だ。
春の豊穣を願う神事が終わると、すうっと気候も変化するように思う。

二月も下旬の今、やっと気持ちも春めいてきた。

さて、春めく境には、雪の灯篭まつりがいい。
米沢は隣県の山形。山の長いトンネルを抜けなければ行けない。
雪の峠を超えるのは厳しいけれど、まつりの厳(おごそ)かさは格別だ。
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幻想とか神秘とか、仮想世界の言葉は、ここでは現実だ。
上の二枚は、モノクロにすこし色をつけてみたけれど、どう加工しても、
雪の中に揺れる蝋燭の灯を表わすことができない、腕の未熟さよ。

灯篭の灯に照らされるように、子供のセル画が雪の中に。
山の子供は海を見たのか。
おそらくは水族館の強い印象を描いたのだろうな、どの子も海のおはなし。
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くすくすっ。ほんとに、どこだろうね。

上杉雪灯篭まつり
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by NOONE-sei | 2006-02-23 17:58 | 仮想紀行(4)

仮想紀行 弐


きのうの旅は、会津若松。
町並みは、てくてくと自分の足で歩くのがいい。
そして、名も無いような裏路地であればあるほどいい。
あやしげな店を見つけたら、小躍りしたくなる。
迷い込むほどの勇気は持ちあわせないのだけれども。

さて仮想紀行 弐。
風呂三昧ならぬ、風呂三枚。
風呂敷を三枚も広げたら叱られるけれど、こちらの三枚はとっておきの露天風呂。
いつも、「これはおまけ」と但し書きで載せる風呂のお写真を 今日は主役にしてやろう。

湯めぐりはいかが?
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安達太良、大玉温泉 
脱衣所は別々、中は混浴でびっくり。客同士で紳士的に譲り合い男女別風呂となるのが微笑ましい。
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裏磐梯、猫魔温泉 
リゾートホテルの風呂とは思えない風情。林の向こうには大きな湖が見える。雨の露天風呂がいい。
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岳、塩沢温泉 
雪の露天風呂なら野趣そのもの。すこし大きなお写真はこちら。

                    *  *  *

現実世界のわたしは、数日熱で臥せていた。
奇妙な夢を見た。
 いつも窓から見える吾妻山には、
浄土平(じょうどだいら)とか一切経(いっさいきょう)という場所がある。
高濃度の火山性ガスに覆われた山だからこんな名がつくのだろう。
わたしは幼い頃に住んでいた山あいのちいさな家で客達を迎えていた。
年端もゆかない者から少し大きな者まで数人の。不思議なことに、彼らは皆同じ顔をしていた。
そのうちのひとりの頬をわたしは両の手で撫でて、「連れて行ってあげるよ」と言った。
夢の中のわたしは観光に来た客人をどこかに案内するつもりらしかった。
ところが、言い終わったら両の手が薄くなっていった。
連れて行ってやりたいのに体が薄くなって、そして消えてしまった。
わたしの体はどこに行ったのだろう。ほんの少し哀しくて目が覚めた。ちっとも怖くはなかった。

背中が痛くて眠りが浅く、腹が痛くて食事を摂れず、
常世(とこよ)から戻って来れたのは、天井を二時間見つめて点滴を終えてから。
いつも点滴など何ともないのに、この時はずうっと、刺した針の周囲がひんやりと、鈍く痛んだ。
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by NOONE-sei | 2006-02-20 00:07 | 仮想紀行(4)

仮想紀行 壱


「書を捨てよ、町へ出よう」
わたしは寺山修司じゃないから、書も捨てないし、さほど町にも行かない。
泊まりがけの旅も苦手だ。

けれど温泉にはゆきたい。
日帰りの近場の旅気分はわるくない。

じゃ、ゆこうか、ちょっとそこいらに。

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古い町並みをてくてくと歩こう。

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鰻の蒲焼の匂いがするよ。

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夜になると、どんなカクテルを飲ませる店だろう。

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お茶を飲んでひと休み。


新撰組の近藤勇や斎藤一(はじめ)の墓に参って、これから温泉へゆくか?
・・ここは会津若松。
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by NOONE-sei | 2006-02-15 00:01 | 仮想紀行(4)