目は口ほどにものを云い、というけれど、手もいろいろなことを語ってくれる。 男性で指の細くて長い人はすこし苦手だ。 喋りすぎる手は、酒などの水ものを作るのが似合うようで、すこしこわい。 一方、白くて指が短くて、ふくふくしている手は飽きない。 そういう手は、料理を作るのが似合う。 和菓子の講座に行った。 以前から、菓子には物語があると言う菓子職人だということを知っていたので楽しみだった。 その職人の店には、白髪で白い割烹着を着たかわいらしいおばあちゃんがいて、 代金を渡そうとすると、両の手を重ねてきちんと受け取ってくれる。 季節の菓子のいわれやそれにまつわる古(いにしえ)の物語が書かれたものが置いてあって、 それを読むのも愉しみだった。 講座は学校の調理実習室。 学生に戻ったような気分で、夏の和菓子を作った。 今夜のお写真は、職人さんの手。 トリミングしてあるので大きさがまちまちなのは、勘弁。 とよ型という長方形の枠に流し入れる。ここでちょっと教わった科学を。 寒天の凝固点はおおよそ30度、ゼラチンは10度以下。つまり、寒天は常温で固まる。 葛を練って蒸し、切り分けて片栗粉をまぶして焼き、焦げ目をつける。 焦げ目がつき始めるのは、160度から。 もう、手が覚えていて「ものさし」でなく「目さし」が利くのに、やっぱり測る。 ところで受講した学校は西洋の神様がいるところ。 実習中に、気をもんで作っていたら、「お菓子の神様は、急ぐとちゃんとわかるから、 気をもまずにゆっくりやってください。」と教わった。 お菓子の神様はきっと日本の神様なのだろう? けれども、きれいな手でわたしが受けた至福には、 日本も西洋も、たいして変わりがなかったかもしれない。
by NOONE-sei
| 2008-05-19 03:07
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