75夜 とむらいのふるまい


メンタルな話なので引き寄せられる人は読まないほうがいい

c0002408_273252.jpg


自分で自分を天然だと感じてがっかりすることがよくあるのだが、
近頃、わたしは自分がほとほと鈍いのだとわかった。

白い菊にも、大輪から小菊まで、さまざまな種類がある。
あしらいにする花は、小手毬(こでまり)やかすみ草、
ポイントにする花は、カサブランカや鉄砲ゆりやストック、
白の花々を手入れしてずいぶん日が経ったような気がする。
そして、手のひらや指先が近頃かさかさすると思ったら、
花の手入れのせいだったのではないかとようやく気づいた。

奇数の七日毎(ごと)に集まって偲びましょうと、
初七日、三日七日、五日七日に親戚が来てくれた。
白ぶかしや、きのこのおこわ、いかにんじん、切り昆布の煮物、白菜漬け、大根の甘酢漬け、
などなど、本家も分家も、銘々が料理を持ち寄り思い出話をしながら食事をする。
わたしも根菜の煮物やちくわの天ぷら、きのこと豆腐のすまし汁などを用意した。

そのとき夢の話が話題にのぼった。
父は、四十九日までには近しいひとの夢に出るのだそうで、
亡くなった朝に父が夢枕に立ってくれたという親戚もいれば、
ふた七日に父が笑顔で車に寄ってきてくれたという親戚もいた。
ところが、わが家では誰一人夢に出たという者がいない。
母はまだ夢で会いたくないと言い、王様は楽しみにしていると言い、
鰐号は心待ちにしているのだと言う。
わたしは、会いたいような困ったような、でも会いたいような。

人寄せが続いて疲れが出たのか、ここ数日頭が痛かった。
今朝はすこしゆっくり起きたのだが、夢と現(うつつ)の境い目のような起きしな、
父の後ろ姿を見かけたので驚いて近寄った。
真っ直ぐの緩い坂道を前を向いて歩いている父は、えんじ色のスーツを着ていた。
前にまわって顔を見たけれど、目は合わなかった。

鈍い。
声をかければよかったと思ったのは目が覚めてから。
近頃になって、ようやく悲しいのだと気づいたのも、やっぱり鈍いから。
[PR]
by NOONE-sei | 2008-03-15 03:10


<< 76夜 不思議なきもち  74夜 おとなになったね >>