この地は東北でもまだ入り口だが、 わたしの家は山の入り口でもあるので、吾妻おろしが吹き降ろす。 東北人の気質は、本質的に明るくないように思うことがある。 いつか、なにか、辛いことがあっても耐えられるよう、 予(あらかじ)め身構えているところがある。 そういう意味で、もしかすると東北人は前向きな発言を控えがちかもしれない。 秋だと思っていたら、昨日、山から吹き込んでいた雨がみぞれになり、夜には雪になった。 山の風に乗って吹き降ろす雪はふんわりしておらず、冷たいだけで美しくない。 「ここは、急に夏になって急に冬になるからなぁ。けっこうびっくりするし、つらいものがあるなぁ。」 関東育ちの王様は、たとえばこんなときに、この地に馴染んでいない自分を改めて知る。 気持ちの準備が追いつかない。 吾妻山はとうに初冠雪は終えており、数日前の寒い朝には真っ白だった。 観光道路はすでに五月まで通行止め。 もう、里に初雪が降るのがいつであれ不思議なことではなかったのに。 けれども、気持ちの準備ができていないのはわたしも同じ。 ずっとこの地に住んでいてさえ、慣れるということがない。 予め身構えていようと思っているのに、 こんな雪が降るとなお背中がさわさわとする。 寒さのせい?家族の揃っていない日々をどう過ごせばいいのか想像もつかないから? 部屋には暖かいストーヴがついているというのに不安が白く吹き下りてくる。 * * * お写真は十一月初めの裏磐梯。 山にはそれぞれの山の特徴があり、安達太良が錦なら裏磐梯は黄金(こがね)。 生えている木がちがうから。安達太良はまたあしたね。 おまけ
by NOONE-sei
| 2007-11-20 01:13
|
最新の記事
お気に入りブログ
文章百珍
*【百夜話】
04年11月~05年04月 *【新百夜話】 05年05月~06年02月 *【新々百夜話】 06年03月~07年02月 *【新々々百夜話】 07年03月~09年01月 *【その後(五)の百夜話】 09年02月~11年01月 *【その六の百夜話】 11年02月~15年11月 *【その七の百夜話】 15年12月~ カテゴリ
profile(1) 百夜話 本日の塾(9) 新百夜話 本日の塾(12) 新々百夜話 本日の塾(9) 新々々百夜話 本日の塾(4) その五の百夜話 本日の塾(3) その六の百夜話 本日の塾(1) 百夜話 父のお話(19) 新百夜話 父のお話(4) 新々百夜話 父のお話(8) 新々々百夜話 父のお話(12) その五の百夜話 父のお話(1) その六の百夜話 父のお話(2) 仮想紀行(4) 本日の産声(8) 本日の道草(9) 数のない夜(23) 東京散歩(5) ときおりの休息 壱(14) ときおりの休息 弐(8) ときおりの休息 参(12) ときおりの休息 杜の都(4) 秋の図鑑(6) 閑話休題(22) 絵のような 文のような(5) 書庫まつり(12) 趣味の書庫話(→タグへ) 百ケ日連打(9) さくやこのはな タグ
検索
以前の記事
2018年 12月 2017年 12月 2016年 12月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 03月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 04月 more... 画像一覧
その他のジャンル
記事ランキング
ライフログ
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||