60夜 すきまのじかん


父の検査が一段落し、ちょびひげの医者からこれからのことを聞いたら、
気が抜けたのか目覚まし時計をかけわすれ、寝坊した。王様も鰐号も遅刻、すまないことをした。
いつもなら起こさなかったわたしになにか言う鰐号はなにも言わず、
王様は、日頃からわたしをあてにしていないはずなのに起きられなかったと、
首をかしげながら出かけた。

父は本格的な治療に入る前に少し退院させてもらえるというので、
今日は母もわたしも休みをもらった。
返しそびれていた図書館の本、いつか行ってみようと思っていたお店でひとりでランチ、
役所、病院で自分の健康診断の申し込み、そしてついでに点滴。
あとまわしにしていたことをいっぺんにやろうと思ったら、
病院の予約時間に間に合わなくなりそうだったので午後に変更してもらったんだが、
そのやりとりでふと思った。
ありのままの自分ってよくいうけれど、それはなんだろう?

以前なら、変更を希望するときに、誤解をされたくない一心で病院にあれこれ説明をしただろうな。
だめなやつと誤解されたら困る、けれども、身の丈以上にきちんと思われても先が窮屈になる。
それではなんと思われたいのだ?
・・等身大。・・それ以上でも以下でもなく。・・ほんとに?
ちがうな。
等身大とありのままって、似ているようで立って見ている場所も見ているひとにもちがいがある。
等身大は、見られたい自分、ありのままは、見られるがまま。
今日のわたしは、どう見られてもよかった。約束を守り、迷惑をかけないですんだから。
ちかごろ、いろんなところで失敗つづきだったから。

今日は、しめくくりに美容院に行った。
点滴は即効性があるとはいえ、そうすぐに効くものではない。けれども、行きたかった。
こんなおやすみの日にこそ、美容院に行くのは大切なことに思えた。
出来上がった頭は、おかっぱ。
泳ぎが達者でも時には失敗することを河童の川流れというのだったっけ?
かっぱはかっぱでも、おかっぱは初めから泳ぎは達者じゃない。
だから目覚まし時計を今夜はちゃんとかけて、すきまのじかんに起きるよ。



借りていたのはこんな本
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太陽と月の間で右往左往して悲しかった「すきまのじかん」が、
夜明けにちょこっと顔を見せる「よあけのお姫様」に、
アオサギに姿を変えて会いに行くお話。
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by NOONE-sei | 2007-10-31 02:45 | 趣味の書庫話(→タグへ)


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