46夜 叫び

   嫌いなひとは読まないほうがいい。

ムンクの「叫び」じゃない。
今夜は虫のお話。

叫ぶほど嫌うって、一体どんな感情なんだろう。
その「嫌い」という言葉に含まれるものは、人それぞれ。
気持ち悪さ、不気味さ、不潔感への嫌悪、恐怖感、、、、。
「嫌い」とは、もとより生理的な感覚、ほかの言葉に置き換えにくいもの。
わたしが蛇を嫌う中に、人間という種が恐竜の末裔を恐がる、
遺伝子に刷り込まれたような「嫌い」が在るのとおんなじ。
よく聞く「ゴキブリが嫌い」には、そんな根源的な「嫌い」のニュアンスを感じる。

夕げの支度に、庭の畑で三つ葉を摘んで流しに入れたら驚いた。
根元にアゲハの蛹(さなぎ)が付いているのを採ってきてしまった。
夕暮れ時で手元がよく見えなかった。
ひっそりと羽化する日を待っていただろうに、たった一本の細い糸で身を支えて。
委ねたはずの、たった一本の細い三つ葉の茎は、わたしが折ってしまった。
蝶の羽化の観察を始めなければならない。

家に来た友人に、嫌いだったら見せないようにしなくちゃ、と思ったら、
もとを見ても、最後の姿がわかるなら大丈夫だと言う。
本来は、本能だとしか思えないほど、虫は嫌いなんだと言う。
ことに、変態する虫は、最終形態がわからないから恐いのだ、と。

44夜にゴキブリのお話を書いた晩、鰐号が叫んだ。
男の子の叫びって、動物みたいだ。
鰐号はどこかで見たことがあるのか、ゴキブリが大嫌いだ。
よだれをたらして(嘘)寝ていたら、顔にしゅたっと飛んできて着地した。
転がるように叫びながら下りてきた鰐号から紙の包みを渡されて、見るとカマキリが気絶していた。
なんだ、叫びのもとはカマキリじゃないか。ああ小気味いい。
もう、カマキリの季節なんだなあ。


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まだ綺麗な黄緑色の蛹。三つ葉は新鮮な黄緑だから、植物に擬態して色が明るい。

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ライティングして撮ってみた。

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虫嫌いなのに見てしまったひとは、これで口直しをしてね。
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by NOONE-sei | 2007-09-16 01:44


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