36夜 箱の中には

   ・7月29日加筆修正しました

ちかごろ王様が、わたしが日頃使っているパソコンの箱を替えた。
もとよりむずかしいことをしないので、中身にこだわりはない。けれど困ったのは『色』だ。
「王様の千と線」に載せるお写真は皆、色を自分の目に映ったように加工しているのだが、
今度の箱の持つ癖というか固有の色というか、それがうまくつかめない。
新しい箱は、読んでくれているひとたちの目に、どんな色を見せているのだろう。
破綻していやしまいか。色が破綻するって、おかしな言い方かもしれないが。

中の見えないこの箱の中には何があるのだろう。
片仮名で名づけられた装置かもしれない。電気仕掛けのおもちゃの配線かもしれない。
でも小さな別世界があるかもしれないと思うと楽しい。
フィンランドの昔話にはトントゥという小人たちがいて、家人が寝静まると現れて家事を始める。
日本の昔話にもこんなものがあった。箪笥(たんす)の引き出しを開けると春の田んぼがあって、
牛を使ってお百姓が苗代掻きをしている。次に開けたときには黄金(こがね)の稲穂が実っている。

・・もしこれから観るのだったらこの段落は読まないほうがいいのだが、
好きな映画のひとつに「ダークシティ」というのがある。
昼も夜も太陽もない不思議な町があって、それでも時は動いていて、
夜中になると、眠っている間(ま)に頭がつるっぱの宇宙人たちが現れる。
家財道具から家人の服装からおまけに頼みもしないのに記憶まで取り替えてゆくから、
この宇宙人、トントゥとは違って悪者たちなのだけれど。
不本意ながら企みの手先になっていた善き人が宇宙人の目を逃れて、
真実を探す主人公に記憶を授けるシーンには、胸が熱くなる。

・・箱の中にあるものは何だろう。
夜中になにかが起きているのに、見えない気づかない。
だれか、箱の中にもし居るなら、わたしに空気感のある緑を頂戴。
箱に引き出しがあったなら、開けたときにはきっと、青々とした夏の稲の群だ。

                           * * *

今夜のお写真も夏の緑を。
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いつも行く公園でニッコウキスゲを見た。


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木の根元にはいろいろな草が生えている。
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by NOONE-sei | 2007-07-26 23:51 | 趣味の書庫話(→タグへ)


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