むかしむかし、あるところで店番をしていたら、 知り合いの年長のお姉さまが、ちいさな女の子を連れてやってきた。 お姉さまの住まいは店の近くだったので、いつでもお寄りくださいとごあいさつしていたのだった。 彼女は散歩の途中で立ち寄ってくれ、女の子を孫だと紹介してくれた。 孫のいる年齢だろうとは思っていたが、彼女はすらりと背が高く、 いつもスーツ姿やぱりっとアイロンを当てた白いドレスシャツ姿しか見慣れていなかったので、 女の子の手をひく姿が、すこし似合わないような気がした。 女の子は気軽におしゃべりを始めた。 「・・それでね、おばちゃん、、」 (おねえさんと呼べ) 「いつもご飯のときに、わたち、さいしょに、こんにゃくを食べるの。 おばちゃん、こんにゃく、好き?」 「きらい。(おねえさんと呼べ)」 「わたちはね、肉肉星人だから、こんにゃく星人じゃないの。 お肉じゃないといやなの。」 「ふ~ん。肉肉星の食べ物って、なに?」 「おにくの肉に、おさかなの肉よぉ、知らないの?おばちゃん。」 (おねえさんと呼べ) 「おにくはね、『お肉の味』がするんだぁ。」 ・・・というわけで、このとき初めてわたしは、このこまっちゃくれから 「肉肉星人」という名前と概念を習ったというわけだ。 定義も概念もよくわからないままなんだが、以来、わたしの献立を考えるときの指標になった。 ところでこまっちゃくれ、じゃなくて女の子、 わたしの辞書に「おばちゃん」という言葉はないの。 なぜかというと、 わたしはおねえさんから一気におばあさんになる予定でいたから。 わたしの夢はね、いじわるばあさんになることなんだよ。 今?今はねえ、うーん、 ・・セイちゃんでいいや。 うーん、こまっちゃくれな貴女から言葉を習ってからずいぶん経ったから、 わたしが思う肉肉星人とちょとちがうかも。 ・・・で、エビは、どっち?
by NOONE-sei
| 2007-06-16 18:35
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