見た目で判断しちゃいかん、という。 見た目が大事、ともいう。 両極の見方に混乱するのだが、 それらには、均(なら)してしまえば「時と場合により」という言葉が含まれている。 今朝、鰐号が「今日、警察がなにか説明に来るから見た目に気をつけた服装をしろ、 っつわれてんだけど、見た目って、なによ?はっきり言えばいいじゃねーか、 わかんねっつーんだよ!」とぼやきながら出かけた。 大学の新入生に毎年所轄の警察署がドラッグやらなにやらの注意を促しに来るらしい。 鰐号のように「時と場合」という類推のできない若造たちにとっては、 大学がちゃんと意思表示しないまま、言った言ってない、聞いた聞いてないの果てに、 場合によってはマイナス評価を下されるかもしれないのが、理不尽で納得できないのだ。 個人の判断に任せる、という言い方もある。 しかしこれには、なお高度な類推が要る。 良識的に、というのは言わずもがなでしょ、とでもいうような。 厄介な含みだ。 「個人」から想起するイメージに「自由」な「嗜好」があるとして、 良識をひと匙加えてみる。「不自由な指向」・・「個人」はどこに行った? あらら、すっかり意味が逆になっちゃった。 思えば類推とは、ごく自然なことだ。 行間を読む、場を読む、時を読む、今では空気を読むなどという言葉まである。 個人と個人のやりとりなら、相手を慮(おもんぱか)るというのは最高の類推だ。 対個人でないやりとりになった時、類推はなおなお高度に必要とされる。 それでいながら誤解や困惑の素にもなる。 この、形だけが残った感じはなんだろう。 類推の無いやりとりもある。 母「今日は学校から真っ直ぐ帰って来なさいね。」 子「??? お母さん、学校から真っ直ぐは帰って来れないんだよ。」 母「???」 子「学校から真っ直ぐ来たら信号を曲がらなくちゃいけないんだよ。 真っ直ぐっていうのは、だから、信号までのことを言うんだ。」 母「あぁ、そうか、ごめんね。言い方が悪かったね。 △△君と信号のところで立ち止まらないで帰って来てね、っていう意味よ。」 子「信号までは真っ直ぐだから△△君と帰るけど、曲がったら止まらないで歩くよ。」 どこか可笑しい母と子の会話。・・これが他人と交わされたら、なんだか空恐ろしい。
by NOONE-sei
| 2007-05-22 01:22
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