11夜 夢にのみ


ふいに言葉が降ってくることがある。
そんなとき、言の葉というくらいだから、言葉は葉っぱのように
ひらひらと舞い降りるかと思うとそうではない。
しゅるっと飛び込んでくるような、そんな降りかたをする。
今夜は『夢』が降ってきた。

わたしと諍(いさか)いをして寝る晩など、
王様には誰かが夢枕に立つらしい。
その誰かは、なにかを見透かすようで、王様は身動きができなくなる。
わたしは金縛りに遭うような経験がなく霊感もないので、想像もつかない。
朝の来るのが長いんだろうか、それとも朝が来ないような気がするんだろうか。
諍いをしている時だから、気づかってそうしたことを聞いたことがない。


『夢にのみ』という言葉をなにかで聴いた。和歌だったように思う。
調べてみると平安のいにしえには、『夢にのみ』を詠み込んだ歌がいくつかある。

   夢にのみ みえつつ共に い寝ぬ夜ぞ多き (万葉集)

   夢にのみ 昔の人をあひみれば 覺むる程こそ別れなりけれ (金葉和歌集)

   夢にのみ 継ぎて見えつつ高島の 磯越す波のしくしく思ほゆ
   絶え間なく 夢に見ゆれば高島の 波の重ねと思ほゆるかも (万葉集)

   夢にのみききききききとききききとききききききといたくとぞ見し (古今六帖)


王様の好きな曲「夢で逢えたら」(詞・曲 大滝詠一/歌 吉田美奈子)は、
夢の中で好きな人に逢いたくて眠り続けたいという内容だが、
いにしえの歌はすこし切ない意味の歌が多い気がする。
夢で逢えたら、なおさら逢えないことや別れたことを切なく感じる、というような。

最後に記した歌は狂歌で、同じ言葉を連ねる面白さで読むもので、
意味は特にないように言われている。
けれどわたしには「き」の連なりが、

あるときは「嬉々嬉々」と、
またあるときは「鬼気鬼気」と、
そのまたあるときは「忌々忌々」と、

ふいに言葉になって降り注いでくる。

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柔らかい旬の野菜、くきたち菜。茎立ち菜?久喜立ち菜?九鬼立ち菜?
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by NOONE-sei | 2007-04-21 02:35


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