7夜 春の驚き


街なかでは桜の花が少しずつ咲き始めているのを見て、驚いた。
こたつもストーブもなくては寒いというのに、
花はしめし合わせたように咲くのだもの。
花咲か爺ならぬ、出遅れた花咲か婆の気分。
つい今しがたまで歌っていた「春よこい」が、桜の歌になってしまったような。
でもまだ「春がきた」という歌じゃない。


               * 春よこい *
                           詞 相馬御風
                           曲 弘田龍太郎

        春よこい 早くこい 歩き始めた みいちゃんが
        赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている

        春よこい 早く来い おうちの前の 桃の木の
        蕾もみんな ふくらんで はよ咲きたいと 待っている


この歌、ずっとみよちゃんだと思っていた女の子が、みいちゃんだったことに驚いた。
桜が咲くことが春の象徴だとしたら、春の歌とは「さくらさくら」か。


               * さくらさくら * 
                           詞・曲 未詳

        さくら さくら
        弥生の空は 見渡すかぎり
        霞か雲か 匂いぞ出ずる
        いざや いざや 見にゆかん


これがわたしの知っている「さくらさくら」なのだけれど、塾の子に尋ねても知らないという。
歌詞は二通りあり、筝曲がもとになったこの詞は昭和十六年に改められ、
今は音楽の教科書にも載っていないのだとか。驚くどころではない。ひっくり返ってしまった。
わたしは、塾では歳をとらない六十九歳で通しているけれど、嘘つきだからばちが当たったのか。
主流になったという新しい歌詞を見ても、まったく憶えがなかった。


        さくら さくら
        野山も里も 見わたすかぎり
        霞か雲か 朝日に匂う
        さくら さくら 花ざかり


・・・知らない歌。
誓って言うが、わたしは昭和十六年にはまだ生まれていない。



                                 *    *    *


今夜のお写真は、すこし春の気配。

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夏に実る桃は、春に蕾がふくらむ。夏には、いつもこの木の桃をお写真に撮っている。

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庭のカタクリ。日中は開いていた花が、夕暮れには閉じる。

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近所の空き地はあさつきの宝庫だ。

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春の小川はさらさらゆくよ。土手にはせりが生えている。

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春の小川には野生の菜の花が咲いている。

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散歩しながら摘んだ、あさつき・せり・からし菜。

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いつも行く山のふもとの公園には、こんな立て札が立っている。桜前線の北上を調べる木なんだろうか。

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見上げた基準木はまだ固い蕾。わに丸とシワ コ 。


わに丸のことについて。
高校を卒業するということは、動物でいう親別れ子別れのようなものだと思う。
むかし、自宅から地元の大学へ通う娘を案じ、自立を促(うなが)すために、
「仕送りするから下宿をするように。下宿先は自宅だけれども、けじめをつけなさい。」
と言った母上がいたと聞いた。
わたしは未熟で、そこまで毅然とした母じゃないけれど、わに丸との新たな絆を持ちたいと思った。

わに丸を改名しようと考えている。
新たな名に改まったからといって、なにが変わるでもないがけじめだ。
そうして、幼名をここに書く時には、精一杯慈しんだお話にしたい。
・・どんな名がいいかな。
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by NOONE-sei | 2007-04-05 02:41


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