19夜 もうひとつの白蛇伝


「白蛇伝」は、日本で初めて生まれたカラー長編アニメーション映画。
中国神話、恋人たちの美しい物語。これからするのは、もうひとつ別のおはなし。

ゆうべ、へびの夢を見た。
毎年、実物には初秋の頃にお目にかかる。
田園地帯に住んでいるのだから仕方ないけれど、機会は無いに越したことはない。
今年は無かったので安堵していたら、夢で会ってしまった、あぁ嫌い。

夢は二度目だ。
一度目は大切な友人の、虫の知らせ。
姫。彼女はそう呼ばれていた。そしてその名のとおり、美しくて我儘な女性だった。
少女のような、、、そう言ったほうが正しいかもしれない。
青いほど白くて薄い肌と、神秘的な茶がかった瞳の。
 月並みな表現しかできない自分の筆力が口惜しい。

彼女とは大学で知り合い、一緒に遊んだ。
泊まりに行くと、夜、銀座のオネエサンたちをタクシーで送りながら
「上がれ上がれ」と家に上げてしまうお父さんと遭遇したものだった。
試験前には広尾図書館でふたりで勉強し、有栖川公園でおしゃべりした。
今でこそ整備されてしまったが、彼女は混沌の街、六本木が好きだった。
 十九で発病して、ほんの数年の間に亡くなった。
望んでいた心理学の勉強は、これからだったのに。

お母さんに形見わけをしていただきに、お宅に伺った。
写真も筆跡の残るものも、彼女は全部自分で処分してしまっていたという。
思えば病院から最期の外泊のときだったのかもしれない、と。
勝気で人を心に寄り添わせない、姫らしい、と思った。
 そのお母さんも亡くなってから、ずっとやりとりしていた賀状に、
お父さんは添え書きをしてくれるようになった。

わたしが初めて見た夢は、白いへびが上にしゅるっとまっすぐ走るさま。
姫が昇天した夜明け、その時間。こんな偶然があるんだろうか。

昔、王様は嘘ぶいたはずなのに、
ゆうべはこわいテントのへび売りに会ってしまった、あぁ単純。
そしてこの上ない蛇足。
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by NOONE-sei | 2004-12-10 13:49 | 趣味の書庫話(→タグへ)


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