本日の産声 五


逝った猫を思い出しても仕方が無いが、盆に帰る先祖達からひとあし遅れてゆくのか
その辺りにブチ コ が居るようで困る。
おかげで、逝ったものを思って泣くわけでもないのに飯が喉を通らない。

ちいさな母猫は、自分より体の大きい、とうに成猫のアク コ に活きた獲物を与え続け、
牙以外の歯がすっかり無くなっていた。
そんなにせっせと狩りに出かけることはなかったのに。
死んでから体中を綺麗に拭いて口の中を拭こうとしたら、歯が無くて、
まだ八歳なのに立派な婆のようだと笑いながらおめかしをしてやった。
嘘のようなはなしだが、その日、雨が上がって虹が出た。

この地には公営の動物の焼き場と共同墓地があるのでありがたい。
坊様に拝んでもらうとか葬式をするとか、とりだててそういったことをやらなくても、
ちゃんと別れができる。
山の斜面は日当たりがよくて果樹が上等なのと同じで、墓も見晴らしがよければ気持ちよかろう。
家で大往生した動物達は、皆そこにいる。


                     *浜千鳥*
                                        詞 鹿島鳴秋
                                        曲 弘田龍太郎
 
          青い月夜の浜辺には、親を探して鳴く鳥が波の国から生まれでる

          ・・濡れたつばさの銀の色

          夜鳴く鳥の悲しさは、親を尋ねて海越えて月夜の国へ消えてゆく

          ・・銀のつばさの浜千鳥


子が親を思う気持ちはかくありたい、とひとは思うが、実際には子は母猫を気づかわなかった。
死の概念がないから。人間とは違う意味で動物は淡々としたものである。


                    *雨降りお月さん*
                                       詞 野口雨情
                                       曲 中山晋平

                 雨降りお月さん雲の蔭(かげ) 

                 お嫁にゆくときゃ誰とゆく

                 一人で傘(からかさ)差してゆく

  
                 傘(からかさ)ないときゃ誰とゆく

                 シャラシャラシャンシャン 鈴つけた 

                 お馬にゆられて 濡れてゆく

c0002408_1245225.jpg

これはなんという名の花だろう。ネコジャラシに似ている。
おそらく先に行って待っているクロに、土産に持っていったらいい。もうわたし達のそばに居なくていいから。
生まれて初めて赤いりぼんをつけておめかししたから、クロもお前に二度惚れするだろうよ。

・歌詞の漢字・改行箇所は、わたしの目に映る詩に替えています



クロの話
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by NOONE-sei | 2006-08-19 01:54 | 本日の産声(8) | Comments(8)
Commented by at 2006-08-19 12:59 x
そうですか。
雨上がりに虹の橋…
犬仲間では有名な「虹の橋」という詩があります。
http://hisuaki.hp.infoseek.co.jp/inuhanasi/inu76.htm
動物に感情移入しすぎといわれるでしょうが、そういうことだと思ってしまいました。

母親は、いつまでたっても母親ですよね。
ルーシー(母犬)もミミ(娘犬)の前では最期まで母親でした。
母猫を気遣わないその行動も、とても子供らしい行動なのでしょう。

セイさん、しっかり食べなよ!

Commented by ろこお at 2006-08-19 13:34 x
祈っております
Commented by NOONE-sei at 2006-08-19 14:08
ひすさん、
すこし書かない日数が長かったので、お久しぶりです。

虹ねぇ・・・不思議でした。
渡ったならいいんですけど、渡らずにいたみたいなのです。お盆だったからかなぁ。
「虹の橋」や「犬の十戒」は有名ですよね。
ひすさんのところから、英語の原文を読ませていただきました。
動物のために書かれたものかと思って、そういうことからはちょっと離れていたかったので、
少し気が重かったのですが、読んでみたら死期を前にした人間があの世にゆく前に出会う
懐かしい動物達との邂逅だったと知りました。
詩で涙はこぼれなくとも、また、動物はHeではなくitではありますが、
それでもわたしにはわたしなりの動物への敬意があるのですよ。

気持ちはなんともないのですが、体に信号が出たのね。
ありがたう、じゃ今晩は酒盛りするかなー。
Commented by NOONE-sei at 2006-08-19 14:39
ろこおさん、
ありがとね。時間がちゃんと過ぎてゆくからきっと大丈夫であります。
こういうときは、面白いことをいろいろやってみるのもいいですね。
んじゃ、まず手始めに好きなものを食って、飲んで。
で、また、飲んで。飲んで。・・・・つづく 
Commented by ろここ at 2006-08-19 18:20 x
こんにちは。
ブチ コちゃん、さみしくなりましたね。

たしかに、動物は人間と違ってとっても自然に死を受け止めているように見えますね。
もみじもかえでが逝った時は、私たちがさめざめと泣いている横で淡々としていました。
あんな風に自然でありたいと思ったものです(無理でしたけど)
私は当時はすべてのやる気を失くして「やる気の出るお薬」なんかを処方してもらいましたよ、弱いです。。。

セイさん、たくさん食べて元気になってくださいね。
私たちにばっか食べさせないで(笑)
Commented by NOONE-sei at 2006-08-20 00:42
ろここさん、ただいま~~
四川鍋だったです、辛かったです、呼吸困難で目が覚めるようだったです~。
牛スジとアキレス腱を豆板醤・山椒の実・八角・粒胡椒で煮込んだやつ。
味のベースは醤油と砂糖で美味しいんだけど鷹の爪10本を揚げた油入り。きょえー!

ブチ コ はこの世で苦労したから、あの世では幸せになってもらいたいなぁ。
うちではブチ コ の名が出ません。出せば思い出すからね。
もみも淡々としてましたか、やっぱり。死を理解しないらしいのですよ、動物って。
人間だけです、思いを馳せるのは。そしてわたしもシワ コ にもう淡々となれないと思います。
ひとさまのお役に立つ犬として共に歩んだ分、無理もさせたように思うのです。
シワ コ が病気してから、こっちのほうが毅然としていられなくなってしまって、、、。
普段からお薬に頼ってますから、なにかあったらもう自分の力じゃ立ち直れませんね、こわいです。。。

ろここさん、ありがたうです。あなたの率直さが好き。
わたしも食べるから、そちらでも太るくらい食べるのだぞーー、はは
Commented by くるり at 2006-08-21 15:21 x
際たる感情を言葉に置き換えるのは、とても大変な作業だと思います。


ブチコさんがちゃんと旅立てるように、
ブチコさんに心配をさせないように、
セイさんは食べなくちゃだめですよ〜
Commented by NOONE-sei at 2006-08-24 14:58
くるりんさん、お返事おそくなって、ごめんなさい!
ほんとうにそのとおりで返す言葉もなくて、そして気持ちはすごく嬉しく伝わって、
ちょっと時間が経っちゃった。
まずご報告。食べられるようになったよー。吐き気がなくなりました。・・ほっ。
くるりんさんは、わたしが「書く」ということがどんな作業なのかをよく知ってくれてる。
あなたのまなざしが、あったかい。
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