映画館でトム・クルーズを観るのは、「宇宙戦争」以来。 あのときはふたりの子の父親という設定で、 八歳にもなるダコタ・ファニングを抱っこしながら逃げねばならないさまが気の毒で、 少女よ自分で走れ、と言ってやりたかった。 少女の兄が、宇宙人と戦うために軍に入ると言う、父と息子の葛藤もあるし、 宇宙人が血を吸った真っ赤っかな映像は毒々しく不気味だったし、 彼にはまだそういうものとは縁遠い、若い役でいてほしかった。 昨年の映画は父と子の物語が多く、「スターウォーズ・エピソード3」も「鋼の錬金術師」も、 父親像は、越えねばならぬ壁として描かれていて気になった。 「スターウォーズ・エピソード3」などは、父親という像を いずれ越えねばならぬ壁とするためにずいぶんと登場人物に無理をさせた。 勇敢だったパドメを ただアナキンにすがって泣くだけの女性にしてしまい、 騎士道のオビワンを 闘った相手にとどめもさしたくない、敬意を捨てた騎士にしてしまい、 賢かったアナキンを 短慮で愚かな若造にしてしまった。 監督はCG画面に中毒のように麻痺して、足ることを知らずスクリーンから溢れさせた。 そうまでして描いた作品だっただろうに、この父と子の物語は、不自然だった。 かたや「鋼の錬金術師」は、少なくとも映画ではわざわざ父と子に焦点を当てなくとも、 現実世界とパラドックスという設定だけで充分楽しかったのだけれど。 さて今夜は「Mi‐3」の先々行上映。 トム・クルーズは新婚さんの夫役。父親じゃなくてよかった。 「スパイ大作戦」はどこか品がよくて好きだった。 そして五拍子の変拍子のテーマを聴けば、やっぱりわくわくする。 ところで、いつのまにエージェント達は合衆国の職員として組み込まれ、 組織の上司や部下や同僚という、会社員のような働き方をするようになったんだろう? 「例によって、 君もしくはメンバーが捕らえられ、 あるいは殺されても、 当局はいっさい 関知しないから そのつもりで。」 ・・だったんじゃなかったか?
by NOONE-sei
| 2006-06-25 02:35
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