猪熊という苗字がこの地ではあまり珍しくないのだが、 よく見ると強くて強くて、腕力も体力もありそうな名だ。 実際には、吾妻や安達太良山系にはイノシシはおらず熊がおり、 ニホンカモシカの生息も山脈に沿っているのだったか、、、。 正確なことはわからないので勘弁。 どの山にもいるのは猿? 山を歩くと熊に遭わなくとも、熊のほうは見ている、と聞いた。 熊の肉は堅い。 何度か貰って食ったが、また食いたいとは思わなかった。 好きな人はたまらなく好きで、美味くないから犬にやったと言ったら悔しがった。 熊猟をする人は、軽トラックの荷台に猟犬を積んで出かける。 そういう人を鉄砲打ち(てっぽうぶち)と呼んでいる。 いつも行く、山のふもとの公園に熊が出た。 昨日、犬と散歩していたら張り紙を見つけ、注意するよう書いてあった。 今朝の新聞にも載り、わたしは公園の散歩が禁止になってしまった。 広い公園は、ぐるりとまわると十キロもあるのだそうで、ところによっては鬱蒼とした森もある。 山に住んでいた小さいころ、 道路からすこしはずれた雪の森で遊んだ。 子供達は雪だるまなぞ面白くないので、王の玉座(ぎょくざ)を作った。 それは立派な白い椅子で、もしもどこかで雪の王が見ているのなら座ってほしかった。 山の本家の裏ではウサギを飼っていた。 触ったことはない。 昔、交通の便が良くなかった頃には、雪に閉ざされるからウサギは冬の蛋白源だった。 業者がどこからかやってきて、さばいて肉にし、毛皮を持って帰った。 母が小さいときのはなしなので、本家のウサギが食用だったかは知らない。 小さいころは、日中、本家に預けられていたので、温泉街で遊んだ。 ある日、こいこいと子供達が呼ばれるまま見に行ったら、道路に仕留めた熊がいた。 これからさばくという。 結わえた木を起こし、解体するさまを見た。 今でこそ熊の数が減ったから保護しなくてはならないと聞くが、 当時、野生動物は身近な脅威だったから、可哀相だとかいう感情は湧かなかった。 ただ、熊の磔(はりつけ)は強烈な印象で目に残っている。 北海道のアイヌには死と再生と祈りの儀式がある。 そうした縄文文化の祭祀を知ったとき、 天上界や浄土にいるかもしれぬアーメンやナンマイダブの神や仏より、 木にも土にも熊にも等しく宿る、原始の命の再生は生活に根ざしていてわかりやすかった。 わたしは、熊は見ていてあの玉座に座ったと、今でも思っている。 熊じゃなくて猪の名が付く場所、猪苗代(いなわしろ)の近くの森のお写真をおまけ。
by NOONE-sei
| 2006-06-23 16:08
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