むかしに比べたら、電話がかかってくることがめっきりと減った。 だから油断していた。 長電話の沼に、久しぶりに沈められた。 受話器を取った時のひとこえで、長く話したがっていることを感じる。 その晩のひとりは、二時間だった。 翌日のひとりは、二時間半。 わたしを心配していたという年長のふたり。 立て続けだったのはまったくの偶然。 ひとがひとを想い、理解しようとするうちに、『理解しようとしているワタシを理解せよ』に すり替わってゆくことはないか? 会話を「詰め将棋」のように詰めているうちに、『心配掛けて御免なさい、大丈夫だから』と 嘘を言わせてゆくことはないか? 揺らぎなく息災でいるかと確認しているうちに、『揺らぎがあってこそのセイ』と 矛盾した確認に変わってゆくことはないか? ・・気になっていたわたしの近況を知ることが、いつの間に理解の達成感に変わったんだろう。 ふたりが「こうあっていて欲しい」と願っているセイは、ここにはいない。 そのセイは、会話で理解し合うに充分な語彙を持っている。 誰とも共感し合わない自我を持っている。 わがままな脳に翻弄されて揺らいでいる。 ・・ふたりが願うセイは幻想だ。 ここにいるのは、ぼんやりして口下手な、ただの、セイ。 思うのはこんなこと。 ・・11夜、いい夢であるように。いい夜なんだから。
by NOONE-sei
| 2006-03-26 01:45
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