闇の色?それとも闇の夜の物語? 想像の産物が怪物になって追いかけてさえ来なければ、 闇は恐くて怖くて魅力的。 夜のテレビが、江戸川乱歩をシリーズで紹介していた。 この夜は『パノラマ島奇譚』。 「中学生頃に読み始め、高校、大学と。 読んでみれば、文章そのものにことさら書かれている訳でもないのに、 想像が湧いてくる。とてもエロティックな小説だと思った。」 案内役の大槻ケンヂがこんな意味のことを。 闇から何を曳いてくるかは、闇を覗く者次第。 子供達が夢中、ゲーム『ドラゴン・クエストⅧ』。 物語の終息までを 幻想という魔物の虜になりながら旅する。 「世界樹の根元に落ちてる現在 ゼボット研究所(禁断の地)左の小屋の宝箱(現在) 今日と明日を間違われる 過去ふきだまりの町 城下町の井戸の中」 攻略するための鍵になる言葉達、現実世界の子供達は自室の囚われ人。 闇から何かを曳いてくるのか、曳かれてゆくか。 ちいさな手を動かし合体するおもちゃで遊んだはずの子供達。 闇から何かを曳いてきて、そこに自分にも何かの役割を与えていたはずの。 闇に想像だけを飛ばすことを覚えた子供達は、 今はおもちゃ付きお菓子を集めないし、プラモデルを作らない。 わたしの周りの子供達は、今、ゲームの世界にいる。 ところで先日、王様のちいさな塾にちいさな生徒がやってきた。 小学三年生の男子。 小学生は、わたしが日本語遊びの勉強でお相手する。 初めましてだから、おしゃべりしたり、しりとりしたり。 この子も今、ゲームの世界にいておもちゃで遊ばない。 大きな紙に絵を描いてもらった。 お題は『この世にない、クリスマスの食べ物』 投げかけておしゃべりすると、想像の産物が画面に描き出される。 青一面の中に茶色の円。そして小さな黒い円。黄色い線。小人がひとり茶色の円の中にいる。 「食べても食べても無くならない肉の島だよ。」 この子は肉が大好きだから、肉に囲まれてクリスマスを過ごしたい。 大好きな麺が黄色い河のように流れる。黒い池は?・・焼肉のタレ。 ではわたしも密かな想像をさせてもらおう。 麺の大河、タレの池、焼肉島の小人。 恐怖劇場じゃない。 『肉の島奇譚』だ。 百夜話 58夜 小さな世界
by NOONE-sei
| 2005-12-15 17:29
| 新百夜話 本日の塾(12)
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