89夜 復という文字


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今日は311。明日から震災四年目になる。
今日は祈りの日。過ごすことが適(かな)う者はいつもどおりに過ごす日。
復活とか復興とか、復と書いてふたたびを意味する日はまだ遠い。

声に出して怒りを露わにしたら堪える糸が途切れてしまう。
けれども慣れないようにしよう、除染作業やニュースで日々発表され続ける県内各地の放射線量、
県産品には必ずある放射性物質検査のラベル、あちこちの道路に標識のようにある仮設住宅群への案内板、
この不自然なものがいつも身近にあることに。
いつもどおりに過ごすことにちからを尽くしても、忘れてはいないことを忘れないようにしよう。

○猫は三歳になる。
311にはまだ母猫の腹の中にいて、公園で拾われわが家に来た猫はすっかり「うちの猫」だ。
出ない犬の乳を吸い、犬たちの腹や尻で寝た猫は、今では犬の体を舐めてやる猫になった。


                                     *


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大きな島に住む友人から、木に生るのが想像できない瑞々しいみかんが届いた。
食い意地の張るわたしが311の後、やっと開いたスーパーで牡蠣を探して歩いたのを友人はよく憶えていて、
三陸が打撃を受けて手に入らなくなった牡蠣の代わりにと、南から牡蠣も送ってくれる。

○松島湾の牡蠣がやっと食えるようになった。
三陸の最南端に位置する松島湾では、
牡蠣漁師たちが牡蠣小屋を開いて炭火で焼き牡蠣を供してくれていた。
それが津波で牡蠣棚も牡蠣筏も船も流され、それでもその年は残った分を供してくれたのだが、
翌年の昨年はまったく小屋を開けなかった。
三年目の今年は、期間は長くないがやっと松島湾で牡蠣がとれるようになって牡蠣小屋が再開された。
牡蠣の養殖は海の整備ばかりではなく山も整えなければならない。
森林の腐葉土からは栄養が湾に流れこみ、多くのプランクトンが発生する。
その淡水と海水が混じる海域で牡蠣は繁殖するから。
牡蠣の出荷をやっと始められたところ、やめざるを得なかったところ、そのどちらもある。


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友人が送ってくれていた牡蠣。


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つい先日の休日に行った松島。


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牡蠣の加工・生産工場。


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牡蠣小屋の周囲には痛ましい傷跡が残っている。


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これが一人前。


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賑わいがあってうれしい。宮城県外ナンバーの車もたくさん見た。


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ホタテも食う。


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牡蠣を食う。漁師の女房が、焼いた牡蠣の汁を酒に入れてくれた。牡蠣酒、旨い。



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○歌に助けられた。
昨年のNコンという全国学校音楽コンクールの課題曲にもなった「ふるさと」。
アイドルグループの青年たちが震災前から歌っていた短い曲が、
幾通りにも歌詞を変化させながら歌われ続けている。
歌のちからは、まず曲にある。歌詞はそれをふくらませる役割だ。
想像力や記憶や経験が相まらないと言葉だけでは立っていられない歌詞が、曲を得て歌になる。


NHK みんなのうた 「ふるさと」   歌: 嵐

                  『ふるさと』      作詞:小山薫堂  作曲:youth case


1番

夕暮れ迫る空に 雲の汽車見つけた
なつかしい匂いの町に 帰りたくなる
ひたむきに時を重ね 想いをつむぐ人たち
一人一人の笑顔が いま 僕のそばに
巡り合いたい人がそこにいる
やさしさ広げて待っている
山も風も海の色も いちばん素直になれる場所
忘れられない歌がそこにある
手と手をつないで口ずさむ
山も風も海の色も ここはふるさと


ワクワク学校Ver.の2番

ここに集えた奇跡 胸に深く刻む
小さき光が照らす 大いなる夢
明日への扉開いて 5つの種を蒔いたら
見過ごしてきたものさえ いま 愛(いと)しすぎて
助け合いたい友がここにいる
遠くを見つめて歩き出す
空の星も虹の橋も 全ては心の中にある
気付くことで輝く生き方を
いつまでも大切にしたい
空の星も虹の橋も 君のふるさと


紅白2011Ver.の2番

写真の中の声が ふと恋しくなった
夢を語りあった日々 輝いていた
あの頃と同じように 空を見つめる木々たち
揺るぎなきその強さが いま 僕の胸に
支え合いたい人がそこにいる
明日を信じて歩いている
花も星も虹の橋も すべては心の中にある
生きることで感じる幸せを
いつまでも大切にしたい
花も星も虹の橋も 君の ふるさと


紅白2012Ver.の2番

朝焼け色の空に またたく星ひとつ
小さな光が照らす 大いなる勇気
何気ない日々の中に 明日の種を探せば
始まりの鐘が響く いま 君のために
雨降る日があるから虹が出る
苦しみぬくから強くなる
進む道も夢の地図も すべては心の中にある
助け合える友との思い出を
いつまでも大切にしたい
進む道も夢の地図も それは ふるさと

僕のふるさと

ここはふるさと

                                                                       採詞: 666**99000
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復ではなく福であってほしい。ここはもともとは福の島なんだから。




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王様の塾の、塾生や卒塾生の父親が順番に原発に行くと聞いた。
長期間同じ人が原発にいるわけにはいかないので、建設会社や設備会社では、子どもがある程度大きく、
技術もキャリアもあるお父さんたちを二~三ヶ月ずつ順番に派遣するんだという。
業界全体で決めたことなので従うしかない。やるせない話である。




     
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by noone-sei | 2014-03-11 23:59


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