69夜 春の足音


春はどんな足音だろう。
ぱたぱたぱた・・ ひたひたひた・・ 
やっと冬を越してえらかったと思ったら、そして心待ちにした花の開花があったと思ったら、
春の足音はもうわたしを追い越して先に駆けてゆくかのようだ。

春の足音は愛くるしい童のちいさな足の運びであって欲しかったのだけれど、
近くの神社の春祭りに、今年も子ども神輿(みこし)は出なかった。
いつもなら子どもたちは太鼓を鳴らしながら奉納箱を持って「お花」と呼ぶ祝儀を集めて回る。
酒樽で作った樽神輿にも奉納箱にも、毎年、とりどりの色薄紙で作った花を飾って、
地域を賑やかに練り歩くのだったが。
今年も祝儀袋を用意して祭りの声を待ったけれども、ついぞ聴くことはなかった。
神社に参ったけれども子どもの姿がない。

この春、鰐号がやっとやっと卒業した時に、市から、原発の放射能が飛散した時期にこの地に居た若者は
ホールボディカウンター検査を受けるようにという指示があった。
めでたい卒業の翌日、保健所で検査を受けてから鰐号は東京に戻った。
限りなくゼロに近い数値を目指した、実際にはゼロじゃない数値の検査なんだろうか。

放射線内部被曝検査測定結果について
健康管理検討委員会からの見解
 今回の測定は、現状における内部被曝線量を把握するためのものでしたが、測定結果から健康に影響が心配されるレベルの数値の方はおりませんでした。
また、預託実効線量(概ね一生の間に受けると計算される内部被曝線量)についても、1ミリシーベルトを超える方はおりませんでした。 ~一部転載


・・で、肝心の鰐号の測定数値は、なにがいくつだったんだ?

お城山に満開の桜の森を観に行くと、0.57とか数字が点灯する大きな線量計が設置してある。
道路では大きな看板に「除染作業中」と書かれた工事のトラックをよく見かける。
今日の町内の回覧板には、△△地域で落盤があり、やむなく町内の近くを汚染土の借り置き場にする、
という知らせがあった。

子どもの声も姿もない、大人ばかりの祭りや花見はつまらない。
花が気がふれたように咲くこの地の春の足音、ぬかるみを歩くような音ではつまらない。
第一、無粋ではないか。



今夜のお写真は、山のカタクリの濃い紫を。


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母を連れてあっちの山こっちの山と、春を追うのに忙しい。
母の足音は近頃ほんとうにゆっくりになってきた。



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山の中の平地には果樹畑。



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地面には青い絨毯が。



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天気がいいので、ちょっとおやつを広げて。



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つくしも地面から。



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小さな沼の周りにはフキノトウが。でもこれはもう育ちすぎ。



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一面、カタクリの群生地。
適度な湿地で木立に陽を遮られると紫が濃くなる。



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なんて美味そうなんだろう。
もう何年も口にしていないのだけれども。



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白い可憐な花は、アヅマイチゲ。


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母とわたしの、夕暮れの長い影。



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物見遊山は仲良くとばかりはいかないので、帰り道には一息ついて、
仲直りに山のカフェでお茶と菓子。 くすくす
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by noone-sei | 2013-04-17 02:04


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