66夜 さくやこのはな 五  もうひとつの生きた心地


c0002408_0491397.jpg
犬が眠りながら脚を動かすのは、こんな夢を見ているからだと思いたい。
このお写真は七年前の今頃のシワ コ 。



雪が降って、路面が凍り、吾妻おろしが吹き下り、時には地吹雪。
気温の変動で昔の古傷が痛んだり頭痛がしたり、体調が良くない時季。
雪道を車で走るとそこここで葬式を見るのは例年のこと。
二月から三月の峠を越えるのは大変なことで、生きることと自然界は直結している。

脳の異常から蘇ったシワ コ は65夜のその後の二週間を順調に回復していった。
が、今週になって、門の前を通った犬に尻尾を高く吠え掛かり、その直後に四肢を投げ出して横転した。
すぐに助け起こしたが茫然自失の様子を見て、わたしは自分で自分に驚いたのだろうと思った。
ところが、翌日も虚脱があり、その翌日もだった。
今になるとそれは虚血による失神だったとわかる。

医者には血圧の変動は命に関わるから覚悟するようにと言われた。
検査は心臓と血液の両面から調べた。
心臓はペースメーカーの役割をきちんと果たしており、問題は血液だとわかった。
骨髄で血液の元は造られているのだが、赤血球と血小板の数値が極端に低い。
増血剤をワンクール投与し、それでも思わしくなかったら輸血をすることになった。

数値から、食欲は出ないし立ち上がることも困難だと医者は言うが、
今日の午前中は立ち上がって餌を食ってから虚脱した。
しかし夕方には立って餌を食いながら虚脱、明日がどうなのかは明日になってみないとわからない。
もう、飼い主の手の届くところではないのだという。

獣たちにユーモアをもらいながらシワ コ とごくごく普通に過ごしたい。
シワ コ は床(とこ)からわたしを目でずっと追う。
いつもどおり、わたしの動きに応じられる準備をしている。
赤身の肉を食う。大根の切れ端を食う。床から半身は起こせる。

医者の言葉、「シワ コ は倒れるたびに、死の淵に行って帰って来ています。
これは飼い主のせいじゃない。あとはシワ コ の気持ち次第なんです。」
シワ コ の気持ち?
犬の気持ち?
医者らしからぬ珍しいことを言う、と、不思議な気持ちで聞いていたら、
「生きた心地」という言葉を教えてくれたのもこの医者、それも二月のことだった。



追って:シワ コ はさきほど息を引き取りました。
     ペロ コ から緊急に血液を貰い、輸血しながら餌も食い、意識もぎりぎりまでありました。
     もう少し看護する時間をくれてもよかったんじゃないか?と言ってやりたいくらいでした。
     十四歳十ヶ月を全うしたシワ コ には、あと数分待ってくれれば会えたのにとも言ってやりたいです。
     ご挨拶はまた改めて次の夜に。




【その後(五)の百夜話】 1夜 生きた心地 2009-02-21





□今から二週間ほど前
c0002408_1225125.jpg
脳の異常から順調に回復していたとき。
シワ コ のためのレバーの匂いに群がった獣たち。


c0002408_1252033.jpg
外の気温は低いけれども、室内はぽかぽかの日。日向ぼっこの三頭。


c0002408_1273887.jpg
まどろみ始めた。



□昨年の六月、いい季節
c0002408_129922.jpg
外で日向ぼっこ。シワ コ は猫の世話を焼いていた。




     
---------------------commercial message by Excite Japan Co., Ltd.--------------------------
[PR]
by NOONE-sei | 2013-02-24 01:31 | さくやこのはな | Comments(16)
Commented at 2013-02-24 12:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by NOONE-sei at 2013-02-25 00:20
鍵コメントさん、
そうですね、帰って来るのはシワ コ の選択だったのかもしれません。
ぱーっと行ってしまったのもシワ コ の選択だったかな、、、、、
鍵さん、ありがとうです。
Commented at 2013-02-25 09:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ひす at 2013-02-25 16:27 x
シワちゃん、そしてセイさんご家族、本当にお疲れ様でした。
避けられないこととはいえ、どうしてもつらいですよね。

何度も死の淵へゆき、そして舞い戻ってきていたシワコ。
戻るたび、またセイさんたちの顔を見れて、さぞ嬉しかったことでしょう。
何度も繰り返し、もう納得したんかな?

でも、あともうちょっと!ほんのちょっとだけ!
やはりそう思ってしまいますよね。

こういう時の心情は、もう自分でも表現できるはずでもないようなものですが、
だからこそ、7年前の写真がすごく素敵で、大切で、
自分だけのためのキラキラな宝物だと、
そう思えるんだとも思います。
Commented by とっと at 2013-02-25 17:36 x
シワ コさん、14才とはあなたは立派に生きました。
ごくろうさまでした。

シワ コさんのご冥福を心よりお祈りいたします。


古い写真を探し出しました。
福島で4頭並ぶ写真です。
4席とも、この世では空席になってしまいましたね。

Commented by ハクママ at 2013-02-26 07:52 x
シワコちゃんの虹の橋への道案内は、
シワ2世のゾーイがつとめていると思います。
あの、そっくりな2頭の後ろ姿が見えるようで、
泣いてしまいました。

セイさんにとって、
シワコちゃんは特別な犬でありましたから、
喪失感は思ってもあまりあります。
誰もそれを消すことはできないでしょう。
耐えてください。

もう一度シワコに会いたかったよ…。


Commented by ろこお at 2013-02-26 07:54 x
ご無沙汰しております。
シワ コ 残念でした。心よりお悔やみ申し上げます。
ボクも急速に衰えてゆくもみじに不安を感じながら
これまで以上に密な生活をと心がけていますが...
皆様、お疲れで体調を崩されませんように
Commented by ろここ at 2013-02-26 08:56 x
心よりお悔やみ申し上げます。
シワ コは本当によく頑張ってくれましたね。
シワ コの気高く颯爽と走る姿が今でも目に焼きついています。
大変な喪失感と思いますが皆様お身体ご自愛くださいませ。
Commented by ゆきうさぎ at 2013-02-27 00:07 x
これまでの、シワちゃんの数々のお写真。
シワちゃんがどれだけセイさんちの中で
大事なキーマン(キー犬?)だったのかが窺えます、

シワちゃん頑張ったのですね。
好物の肉を喰い、セイさんがいつも視界の中にいる・・・。
犬は主人のそばにいることだけで幸せなのだと
きいたことがあります。
きっと幸せな気持ちのまま旅立ったのでしょう。

あちらにはセイさんのお父さまがいますね。
シワちゃんはさびしくないとおもいます。



Commented by at 2013-02-27 21:39 x
合掌

わんこの行く天国と人の行く天国が同じでありますように。
Commented by mica at 2013-02-28 00:52 x
シッカリ者の、シワさんですからね。
セイさん家だけでなく、獣医さんの指導もして
旅立たなければならなかったようで。。。
だから、ちょっと最期、ちょっとセイさんと王様には
思い描いていたのとは違う見送り方になってしまったかも
しれないけど。。。なにせシワさんだから。

「なにがあっても、分かってもらえる」って
信じているから、そうしたんだと思います。

今はガマンしないで、いっぱい泣いてね。
Commented by NOONE-sei at 2013-03-06 01:48
・コメントくだすった皆様へ

シワ コ を可愛がってくだすって、ありがとうございました。
ご心配や温かい言葉かけをありがとうございました。
お気持ちにこころからこころから感謝しています。
ほんとうなら、おひとりおひとりにお返事差し上げるべきところ、
このような形でお礼を述べること、お許しください。


何度もコメント欄を書き直しては消して、を繰り返していたら、
もう桃の節句を過ぎてしまいました。
雪かきをする冬の暮らしから春の兆しがすこしある暮らしにとか、
別れや出会いのシーズンであるとか、
周囲は確実に変化していて、それに合わせて動いていながら
実際には小さな違和感を感じるというような、
つまり本当はどこかぼぉっとしているのにネジだけは巻かなくちゃいけないというような、
へんな感じなんです。
Commented at 2013-04-09 11:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by NOONE-sei at 2013-04-09 14:01
鍵さん、
お久しぶりちゃんです。
ゆうべ急にシワ コ に会いたくなって、68夜を久々にupしたら、鍵さんからのコメント。
不思議な符丁ですね。嬉しいです、ありがとうです。

鰐号が卒業できまして、それまでシワ コ は待っていてくれたんだろうと
そう申しておりましたよ。
Commented by at 2013-04-11 22:40 x
私の実家で飼っていた猫のミィは19歳で亡くなりましたが、
結婚式をあげ、新婚旅行から帰ってきた2週間後でした。
そのとき私もぎりぎりまで待ってくれてたのかと思いましたよ。

息子さんのご卒業、おめでとうございます。
Commented by noone-sei at 2013-04-12 01:26
桂さん、
19歳、立派だぁ。
桂さんも生き物にそのような思い方をされたことに
実は驚いています。
ともに暮らすと一緒に成長するぶん、近くなるというか
思い方や感じ方が人間と動物の境をあわくするというか、
鰐から、そんなことをちょうど考えているところでした。

おめでとうをありがとうございます。やっと卒業です。
7月は甲子園ですよ(笑)
名前
URL
削除用パスワード


<< 67夜 なにをはなそう 65夜 さくやこのはな 四  ... >>