8夜 異邦人


几帳面で勤勉で、物事を曖昧にせず、探究心のある、
そんな愛する奥方を ドイツ人、、とご亭主は形容した。

歯に衣着せない、彫りの深い顔立ちの、集中力のある、
そんな熱情の同僚を スペイン人、、と上司は形容した。

お絵かき講習会で、マチスのような切り絵の実習。
各受講者の絵を ロシア人、イタリア人、アメリカ人、、と指導者は形容した。
 わたしは、オーストリア人、と言われた。なんだか面白そうではあった。
けれど何かにはめ込まれるような気もして、理由も尋ねずそのままうっちゃっておいた。

では、このひとを どの国の人になぞらえよう?
 小さいけれども、なくなったら困るからと、わざわざよけておいたものを
わざわざ誰かが捨ててしまった。
いつものことながら、我が家はおおさわぎ。
捨てたのは母、西太后。・・おそらくはゴミと間違えて。

しかし真実は闇のなかへ。
  『ゴミは捨てるもの。大事な物はゴミではない。ゴミでないものは捨てない。
   故に(まるで怪しい数学の証明∴)「捨てた」ことにはならない。』
・・あっけらかんとした西太后の論理は彼女の中で確固とした整合性があり、揺るがない。
意地を張っての屁理屈であれば、まだ幾分かの隙間があるけれど、
この、どの国かのひとは、人間には過ちをおかす可能性がある、という概念がなさそうだ。
 
8夜は八、ということで。
縁起がいい数字じゃなかったか?

八ではなくて、どの国かの、まるで蜂に刺されたような夜、、。
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by NOONE-sei | 2005-05-20 11:28


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