45夜 天の寿


父が青年期を過ごした浜からもう少し南に下った、
北関東の大伯母(おおおば)が天寿を全うした。
葬式の引き物には紅白の饂飩(うどん)があって驚いた。
百に近い高齢なので、弔う葬るではなく祝い事なのだという。
熨斗(のし)に「天寿」と記してあるのを初めて見た。

忌みごとがそのように転じるのはたいそう不思議だ。
ものごとは、見方ひとつで簡単に転じることができるとは思わないけれども、
からりと転じるまでの中間には転じきるに至る過程があるのだけれども、
ああ、そういうものなのだなぁと、妙に納得がいく決まりごとは、
ひとの気持ちを落ち着くべきところに連れて行く。

組になった言葉があるだろう?
天と地、生と死、それらは上から下に視線が動くような気がして、どうも陰気だ。
内と外、陰と陽、喪失と再生、それらならば左から右に視線が動く。
しかも、人に教わった最近覚えたてのイメージがあって、
喪失は再生を飛び越して、奪還へと飛び立つ。

足踏みしているときには言葉少なでもいい。
寡黙と饒舌の中間には、転じるほどの威力はないが、思慮という落ち着きがある。




                         *   *   *




愛機バンコランは天寿を全うせず、復活した。
愚息、鰐号は大学に復学することになった。
わたしのPCは天寿を全うしたけれども、かなりのデータを持っていかれた。
震災で半壊した塾を 大家さんに頼んで塾生の卒業まで続けさせてもらったけれども、
三月末日をもって閉塾した。

そのようなわけで、イメージの転換や組になった言葉のようには
現実というものはなかなか動き出さないけれど、
この思慮の時を閉塾に伴う整理に追われながら過ごすのも、
なかなかできない経験じゃないかな。
これからのことはそれから。





□音楽は天の寿
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友人に貰った心地いい音楽はフランス語やポルトガル語、
どちらも流麗で同じような言葉に聴こえる。
音楽は落ち着きの素(もと)だな。







テン コ が一歳になりました。
いつが誕生日かわからないので、だいたいの逆算で決めました。
今月は、シワ コ が十三歳になります、拍手。
追って: 十四歳でした、シワ コ ごめん、、。

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夜の獣たち


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ペロ コ なしには眠れないテン コ 。


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初めて木に登りました。
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by noone-sei | 2012-04-04 00:11 | 趣味の書庫話(→タグへ) | Comments(10)
Commented at 2012-04-04 09:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by しょーじ at 2012-04-04 09:46 x
テンコは立派になりましたね~
ちょっとオデブにも見えますが(笑)

言葉のイメージというのは、いいかげんなものでしてね。
マーラーの曲で「大地の歌」というのがあるんですが、
原題のドイツ語を英語にすると「ソング・オブ・アース」。
つまり、直訳すると「地球の歌」なんです。
「大地」というと、広々でどっしりとしたイメージが浮かびますが、
「地球」というと、青い球体のイメージが浮かんできます。
これはイメージの視点の置く場所が違うからです。

視点を違うところに置きさえすれば、イメージも変わるのです。
Commented by NOONE-sei at 2012-04-05 00:21
鍵コメントさん、
はい、ずっとずっと応援させていただいておりました。
みんなみんな、お疲れちゃんでした。
がんばったねーーーー。

いまごろ、あっちで「ありがと」にしようか
「いただきまーす♪」にしようか、鍵さんに言おうとして
つい目の前の肉まんにかじりついちゃいましたの図だと思われます。うふふ

お誕生日まで居てくれたの、えらいえらい。
Commented by NOONE-sei at 2012-04-05 00:48
しょーじさん、
テン コ はガッチリどっしり力持ちのきかんぼです。
太らせないよう気をつけていますがお尻が大きいので
でぶちょこりんに見えるです・・・しくしく
400グラムくらいだった面影がないであります・・・しくしく

言葉のイメージにわたしは後ろ髪を曳かれるというか、
視点の移動がなかなか、ねぇ。
移動の途中で道草を食ってしまうのだろうなぁ。
特に、プラスのイメージとマイナスのイメージ、
そのどちらを余韻に残すかで足踏みしがちですね。
そういうことに軽やかになれたらいいなぁ。

私信 鰐めがたいへんお世話になりました。
   また懲りずにお世話にならせてください。
Commented by ろここ at 2012-04-05 23:04 x
テン コ 一歳おめでとうございます。
骨格が大きいのかな?
3匹一緒にいてもそんなに小さく見えませんね。
お尻が可愛い♪
木に登っている姿は、さすが「狩をする動物」って感じの頼もしさ♪
Commented by ブッピー at 2012-04-05 23:47 x
テンコちゃん一歳おめでとう♪
ペロ・テンちゃんのツーショットは本当に何時見ても可愛いですね
そこに愛を感じます(*^m^*)

ウチも実家で猫を飼っていて木に登るのも何匹かいて
その姿を見ましたが、雪の積もってる木に登ってる猫の姿を
見たのは初めてで、なんか。。カッコイイ。。



Commented by NOONE-sei at 2012-04-07 03:44
ろここちゃん、
どうもありがとうねぇ♪ うふふ
いつまでも子犬みたいなので、一歳といったら立派な成猫なのにそうは思えんです。
テン コ がほんとはどれだけ小さい猫なのか、寸足らずというか寸詰まりというか
それをろここちゃんにお伝えしようと手で計測してみたです。
胴回りはわたしの両手の中指と親指で輪を作った太さです。
小型犬の小さいのという感じ?
ところがうずくまるとあの尻はなんでしょう?
つまり足が短いのだなぁ・・・
狩の声を聞かせてあげたいです、美声ですよ。やぎみたいです(笑)
Commented by NOONE-sei at 2012-04-07 03:51
ブッピーさん、
ありがとうです、えへへ~♪
しわぺろてん(天ぷらみたいだ)の相関図はもう想像つきますね?
テン コ はペロ コ の耳の中まで舐めます、クサイのに!
あれが「愛」? ・・母の愛か子の愛か・・・いずれにしてもテン コ は犬ですな。

雪の積もった木だとよく気づかれましたね~
ものすごく雪の積もった頃でした。場所はドッグランです。
テン コ はソリで曳いてやりました、が、さすがに嫌だったようです(笑)
Commented by ひす! at 2012-04-07 16:30 x
天寿。
それを全うできたら、本人はもちろん、送る方も幸せですよね。
だからそういう意味では、それはもうお祝いだと思います。
そして、天寿を天寿たらしめるのは、
本人の体力でも、高度な医療でもなく、
逝く方、送る方、双方のあがくほどの努力と濃密な時間にあると思います。
無論それはいうほどたやすいものではないし、
確実に苦痛を伴いますが、
それでも、だからこそ、とても大切でいとしい時間だと思います。
だから、必ずそれは報われるはず。


テンちゃんたちすごくいい感じですね。
拝見するたびすごく幸せになります。
その一方でうちのクロスケ…
本当に不憫で申しわけない。
毎日のほんの短い時間、嬉しそうになついてくれるあの子を見ると、
体が二つあればといつも思います。
いつかわんこたちと仲良く過ごせるようになれるかな・・


Commented by noone-sei at 2012-04-10 00:45
ひすさん、
ずっと、わたしの周囲の病の動物たちとその飼い主たちが気がかりだったせいもあって、
大叔母の大往生について書きたくなったですよ。
ひすさんにもそうであったように、見守るだけでなんの言葉掛けも
タイムリーにできないわたしですが、
「ひとの気持ちを落ち着くべきところに連れて行く。」
ただその一点を願う文章を書いてみたかったのです。
見送った友人たちや見送ろうとしている友人たちを思うほどに
黙って友の背中をなでてやれない距離はもどかしいものです。
かなうものなら言葉を花束にして贈りたいものです。

テン コ は我が家の暮らし方に犬のように扱われて馴染まされたわけですが、
もう割り切るしかなかったですねぇ。
クロにゃんにはたっぷり時間をかけて犬と馴染ませる試みを
すこ~しずつやってみるとか。
それとももう一匹クロにゃんの仲間を増やすとか???
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