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36夜 願わくば


真夜中に明日を願う。
こころに勇気を 胸に希望を ちいさなしあわせを重ねてゆこう。


"God,
grant me the serenity to accept the things I cannot change,
the courage to change the things I can,
and the wisdom to know the difference."



神よ
願わくば私に
変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと
変えることのできる物事を変える勇気と
その違いを常に見分ける知恵を授け給え

                         ~カート・ヴォネガットが作中で引用していた文章




これは敬愛する方が、わたしが混乱していた時期に教えてくれた祈りの言葉。
言葉にはちからがないと諦めなくていい。
311の後には、がんばれって言わないで、そう思っていたのに、
現在のわたしにはがんばれも有効だ。
貰った祈りの言葉を繰り返し唱えてその深みをかみしめるゆとりも今ならある。


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あの時期、マリーアントワネットは真夜中の散歩をした。
だから夜の歩兵に立っていたら、ある朝、わたしは声が出なくなった。
やがて声が戻り素敵なハスキーボイスになり、
その声で女王に、毎晩居所を変えて失せるハンドバックに財産の一切合財を入れるのを
止めてくれるよう懇願したら、城に帰りたい城に帰りたいと反対に懇願されて困っていた。
薬はもちろんだけれども、日常は接し方でずいぶん改善される。
今晩はもう遅いから泊まっていったら、とか、じゃぁ一緒にお城を探しましょう、とか、
嘘といえば嘘、ユーモアといえばユーモアで日々を繋いだ。
嘘つきな歩兵は倒れこむようにして寝るので、
夜中にマリーアントワネットになにがあっても次第にわからなくなった。
もうそれでもいいんだと思うことにした。


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マリーアントワネットには薬が良く効いて、今では意欲も明るさもあり、
不安が不安に拍車をかけることがない。
心根(こころね)のきつさが失くなったらさみしいと親戚は言うけれど、わたしはちがう。
きつさを少し失って、いたわりの言葉を得た母と、新しい関係が始まったのだと思っている。
それに、きつさというものが完全に失せるということはない。
なにしろ、心の根っこだもの。


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薬が効いて得られたこの時間は、いつかあの混乱の時期を再び迎えるまでの
ごほうびかもしれない。
だから願わくば、真夜中に明日を願う。


お写真は、十月からずっと玄関で楽しませてくれている花かご。








ちかごろのわが家の獣たちは、
寒くなったので元気です。

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素敵なおしり。


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さんすくみ。


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戦いすんで、日が暮れて。
by NOONE-sei | 2011-12-15 00:34


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