21夜 なかなおり


 ・19夜からつづく話

また月が変わった。今日から七月、明日は半夏生(はんげしょう)。
なんともあやしげな言葉じゃないか?

一年のうちでいちばん日が長かった夏至、それから十一日ののちが半夏生とは、
なにやら中途半端でおぼつかない。半夏生とは一年のうちの中休み?
これから日は短くなる一方なのだよ、と、そう言う前に、
暦(こよみ)というものは何故ひと呼吸おくんだろう。

なかなおりという言葉がある。
中治りというのか仲直りというのか中直りというのか、相応しい漢字をわたしは知らない。

それは生を終える前の「なかなおり」といって、驚くくらい一時的に元気になること。
別れのために設けられた自然の猶予なんだろうか。
ほんの一日やせいぜい数日あるかないかの不思議な時間で、
年寄りたちはつれあいを見送ったあとなどに、しみじみ振り返って
「あれはなかなおりだったのかもしれないナイ」と言う。
わたしにはそれが、連れ添った夫婦の、別れを前にした「仲直り」に聞こえる。





◆本日の百ケ日連打
「暦をめくっていた」
鰐号が東京に行ってしばらく過ぎた。
いくつかのトラブルを抱えながらも、この地に戻りたいとはまだ言わない。
だから戻れるようそのままにしておいたアパートを引き払うことにした。
震災で、たてこもりだかひきこもりだかから急に炙(あぶ)り出されたから、
部屋は三月十日そのままだ。
片付けに入ったら暦を見つけた。三月までめくってある。
鰐号のたてこもり半年間はなにもかも停止していると思っていたら、時間は動いていたのだな。
昨日、鰐号は用足しのために二日ばかりの帰省をした。
十日遅れの父の日の贈り物も持って。



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鰐号の荷物を作業場に入れる準備で汗を流した父の日。
ごほうびは十割蕎麦と夕暮れの甘いもの。ほとんど喧嘩はないので仲直りはない。
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by noone-sei | 2011-07-01 00:10 | 百ケ日連打(9)


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