16夜 鳥のことば 


果樹農家が少しずつ梨畑の周囲に植えた薔薇があんまりみごとなので、
ほんの数年前に一般に公開を始めてくれた。
英国庭園を模(かたど)った薔薇園は、
まだ実がほんの小さな、葉が青々とした梨棚の広大な群の中にある。
鳥の声を聴きながら蝶を見ながら、甘い香りが漂う小道を歩く。


カッコウって、薔薇の季節だけの鳥なのか?
托卵の鳥カッコウに薔薇とは、よく似合うと思う。 古くは

   憂きわれを さびしがらせよ 閑古鳥

松尾芭蕉が吟じ、「閑古鳥(かんこどり)が鳴く」とはものさみしい感じを表わすそうだが、
カッコウの声はものさみしいだろうか。声はことばだろうか。
音声を真似しやすいカッコウでなくとも実際には夏鳥の声は艶やかで、
この季節、せっせと青虫をヒナに食わせるシジュウカラのつがいなど頭が下がるほどで、
巣の持ち主の卵やヒナを巣の外に放り出してしまい自分だけを育てさせるカッコウの生態には、
また別の意味で頭が下がる。
同じ巣に別々のカッコウが托卵したら、カッコウのヒナ同士で巣から落とし合いをし、
敗れたほうには当然のように死が待っているわけで、
熾烈な闘いを生き抜く渡り鳥の繁殖には、托卵する鳥もされる鳥も、どちらも
首尾よく生きろと願うしかない。

鳥の声といえば、山のふもとの森でオオルリの声を聴いた。
ウグイスやコマドリと並んで日本三鳴鳥のひとつなのだとか。夏の歌姫なのだという。
歌姫といったらメスだと思うものだけれど、この美声にオスメスがあるんだろうか。
そういえば、花々を擬人化して表わすとしたら、やっぱりメスじゃないかと思う。
それとも、男性は花を同性と見る?花はおとこことばで話すだろうか。

カッコウもオオルリも遥かな地から渡って来る鳥だと、調べていて初めて知った。
渡り鳥にはなんとも言いしれない思いがする。白鳥くらいしか渡り鳥って知らなかった。
小さい鳥も、途方もない距離を旅するのだなぁ。・・やっぱり言いしれない。


                      *


今夜のお写真は、友人の家に招かれての食事会。
それは五月の初めの頃のこと。
まだ、余震が怖く、原発の先が見えず、日々を重い気持ちで過ごし、
他所の家で食事をするなんて考えられなかった頃でもある。
今はもう六月、月が変わるごとに気持ちだけは鎮まってくる。
とはいえ311以来、まだ映画館に行っていない。
ひとりで映画館に行くのが怖かったけれども、そろそろ行ってみたらいいんだろうか。

c0002408_333192.jpg
美しい食卓。
実はこの日、皆で食器を持ち寄った。友人の食器は自分で吹いたガラス器の数点を除いて、
普段使いの器も大切にしていた器もほとんど全部が地震で壊れた。
実はわたしも、金継ぎや銀継ぎなど、漆で継いで大切にしていた思い出の器がいくつも壊れた。
形あるものは壊れるとよく言うけれど、壊れてもなお大切にしたいものだってある。
けれども311で壊れたものは、言いしれない思いの末にみんな捨てた。


c0002408_334312.jpg

c0002408_335363.jpg

c0002408_34453.jpg
心づくしの料理。
煮物の大根は、冬に干して凍らせた凍み大根。


c0002408_341457.jpg
花も飾って。


c0002408_34231.jpg

c0002408_34332.jpg
ワインで乾杯し、日本酒を持ち寄って利き酒を楽しんだ。
わたしはこの日のために、とっておきの伏見の酒を。


c0002408_34422.jpg
写真中央が持っていった酒、両脇は普段の酒、もう、酒はでぶの素にちがいない。









もう、量りに載るのは次回は無理かもしれません。
c0002408_2562199.jpg
うちに来てから約三倍になりました。胴長になったような気がします。


c0002408_2563692.jpg
この箱を気に入るあまり、食い破ってついに破壊しました。
現在は二個目の箱の破壊に入っているところです。


c0002408_2565241.jpg
シワ コ と同じ目の高さになりたいとは生意気だと思います。
それにしても、テン コ は胴が長いんじゃないだろうか。


c0002408_2571244.jpg
・・やっぱりシワ コ は可愛いなぁ。
[PR]
by noone-sei | 2011-06-10 00:10


<< 17夜 くちべにの花 15夜 青の野菜 >>