12夜 花の名


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可憐な花だろう?

311から二ヶ月が過ぎた。
月日が流れるのはたいそう大切なことで、
とらえきれぬほどの大きな現実を 一旦、自分の胸に取り込んで咀嚼する時間をくれる。
月日を数えるのはもっと大切なことで、
亡くなったひとや死んでゆく動物や、失くしたものやこれから失くなるものを 
ずっと、思い続けるよすがとなる。
このウェブログはおはなしの手触りを綴っているのに、現(うつつ)の傷がひょいひょいと顔を出す。
震災の傷痕や近くのひとや遠くのひとのことを思わない日はない。

いつか春が来るからがんばれと言われ続けてその春はもう行ってしまった。
言われなくとも十分がんばっているからもう言わないで、三月はそうテレビの映像に答えたかった。
けれど、四月は忘れられていくような気がして、この地で狂ったように咲き続ける花にすがった。
そして五月、畑では実の生る桃の花は終わり、林檎の白い花が咲き始めた。
わたしの「忘れないで」という声を掬(すく)って祈り寄り添い、
「あなたを忘れないよ」と落ち着かせる友だちの声が胸まで届くようになった。

もうじきさくらんぼの季節、夏には桃、秋には林檎。
収穫しても他県の人々の口に入るかどうかは生ってみないとわからない。
米も野菜も果物も、それでも農家は作り続ける。
そしてこの地の人々はいつもどおりの日々を暮らそうとしている。

天皇ご夫妻が、うちのすぐ近くに避難している人たちを見舞ってくれた。
静かに思い続けるこの祈りの前で、貴賎の別なくわたしたちは等しく民の子らだと改めて思う。


                            *

今週から大学が始まった。
昨年の夏、大学は、誇り高いかの地、飯舘村の村長を外部講師として招いた。
福祉学部の学生たちに、村が実践してきた数々の理想的な事業の根幹を成す理念、
血の通った村営福祉施設、質の高い農業と酪農への取り組み、コミュニティの捉え方と展望、
村営書店や「あなたにつなぐ飯館絵本リレー事業」という絵本図書館、等々の講演をしてもらった。
その飯館村の計画避難が明日から始まる。
公務員宿舎や旅館に六千五百人もの村人が散らばることになった。
どこにあっても、このコミュニティの誇りが傷つくことのないよう、心から祈っている。
祈り続けている。 ・・花の名は「忘れな草」。


□までい産品
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トミちゃんが作った料理のたれと菓子。


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この地で一番のランチを少し弁当に詰めて持ち帰った。



□花
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四月の末の果樹畑。桃の花が満開。遠くの鉄塔は東北電力の変電所。



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鑑賞用の花桃には負けるが、それでもこんなに桃の色が紅(べに)のようだ。



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菜の花。土壌の改良にいいと聞いた。
東京電力原発避難区域の一時帰宅に、菜の花の種を蒔くんだと持っていった人がいるという。
なんともせつないはなし。



次の夜から数夜、花や野菜のお写真を連続で載せようと思っている。
もう、ツバメを見かけたので夏の気配なんだが、五月初旬の春は、
やっぱり載せておかないと。








テン コ が750グラムになった。この色の猫を茶トラというのだって?
明るくて人懐こくてすこしおばかなんだと聞いた。
猫って、色で性格判断をするのか? ・・そういうのって心理学的にはちょとあやしい。

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04.27 シワ コ の尻毛にくるまって。


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シワ コ の腹にて。


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ペロ コ の腹にて。
ペロ コ の乳はテン コ に吸われて内出血した。さすがに不憫だったペロ コ 。


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互いが互いのおもちゃ。


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じっとしていない。


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05.12 夜の獣たちは、ただ寝ている。
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by noone-sei | 2011-05-14 00:10 | Comments(11)
Commented by ひす at 2011-05-14 15:32 x
こんにちは。
久しぶりの更新でほっとしました。(=^^=)ゞ

さて、気がつけばもう初夏、
様々な思いと共にあっという間に月日が流れましたね。
でも、誰も忘れたりしませんよ。
忘れるはずがないですよ。
薄まっていくのは事実かもしれませんが、
それは嫌なことも含めて薄めていきますから。

いつものように花が咲き実が実るものと思ってましたが、
それもきちんと世話されている方々あればこそ。
今年の果実もおいしそうだ~!

>獣たち
すごいな~、本当にこんなに仲がよいなんて!
お互いの無邪気さと懐の深さに驚きます。
(うちらはとてもとても…)
今後この凸凹凸トリオの素敵な時間をとても楽しみにしております。
(*^人^*)
Commented by しょーじ at 2011-05-14 17:33 x
水色の花・・・花なのに「忘れな草」なんですね。
また一つ、勉強させてもらいました!

しかし、テンはほんとに怖いもの知らずです。
どんどん大きくなってしまいますから、今のうちに撮りだめをしましょう~。

追伸)
GW明けに鰐君からお礼のメールをいただきました。
元気そうで何よりでした。
Commented by かよ at 2011-05-15 17:34 x
菜の花、かわいらしくて好きです。
食べちゃいたいくらいに。初めて食べた時は
甘そうなイメージ持って口に入れたので、苦味に少なからず驚きました。
小さな花だけど、思いがけない力を秘めているのですね。
花自身は、そんなこと思ってもみないだろうけど。
花や木々の勢いから人は元気をもらうのだよと
恩j師から聞きました。
今年は無性に桜が見たくなって、造幣局の桜の通り抜けへ
ひすと娘をせかして行きました。

テン コちゃんの毛色は茶トラというのですね。
分からなくて、シマシマのきなこ色の猫~とか
美味しそうなきなこ色の猫と言ってました。
猫の雑誌を買ったのですが、サビとかサバとか、
色んな毛色の呼び名があるのですね。
雑誌には作家さん達と猫のお話が書いてあるのが面白く、
けど眠くてなかなか読み進まず、ぼちぼち読んでいます。

Commented by noone-sei at 2011-05-16 11:53
ひすさん、
すこし間が開きましたが、だいじょうぶです♪
四月と五月には大きな境がありましたよ。
季節的なものや暦に、ひとの気持ちって大きく影響をうけますね。
「取り残され感」な気持ちを花でむりやり鼓舞していましたが、
五月は「耳が開いた感」の月になりつつあります。

>嫌なことも含めて薄めていきますから。
うん、気づかされる。あったかい気持ちになります。

本来、連休は農作業の準備のためのものなので、
田んぼに水が入り、林檎の花の受粉作業が行なわれます。
今年もそれが行なわれているのを見て、ほっとしました。
政府からの「待った」を聞いていたら間に合わなかったと思います。
メルトダウンでがっくりもきていますが、日々を歩まねば、です。

獣たち、とくにペロ コ とテン コ は仲がいいと思います。
脳みその大きさはだいぶちがうはずなんだけどなぁ・・・・??

Commented by noone-sei at 2011-05-16 12:08
しょーじさん、
はっ!そういえば、花なのに草という名だ!
いやいやこちらこそまたひとつ気づかせていただきました、ぺこり。
こうしたコメントの対話の妙味って、こんな発見のやりとりに
あるものなのかもだなぁ・・・

テン コ は頭ひとつ分大きくなりました。
昨日は爪を切りました。
一方的にペロ コ に狩られるのでなく、テン コ が誘うこと多々。
やっぱりテン コ は犬だと思いますねー。

鰐は住民票を異動しました。
ご連絡しましたか、それはよかった。耳が開いているという証ですね。
(これからも開いているといいのだが、、、むむ)
Commented by noone-sei at 2011-05-16 12:16
かよちゃん、
え゛?もしかしてその話って、菜の花、生で食ったということか、、?
かよちゃん、やりそうだなぁ(笑)
花の勢いが、こちらではもう半端じゃありませんでした。
どぉしちゃったの、っていうくらい急ぐ急ぐ。
おかげで、今はすっかり春の花が終わっちゃいましたよ。
花や木のパワーは、かよちゃんの恩師さまのおっしゃるとおりだと思います。
かよちゃんもお花見、急いだのね(笑)

テン コ になぐさめられること、いっぱいあります。
でもまだ可愛さに順番があって、見た目とかしぐさとかの表面的なことでなく、
わたしの気持ちの中の可愛さはやっぱりシワペロテンの順番です、えへへ。
Commented by noone-sei at 2011-05-16 12:26
鍵コメントさん、
鍵さんが、たとえ嘆きであっても語り継いだらいい、と書いてくれたのが
とても力になって飯館村のことを再び書こうという気持ちになりました。
こころより感謝です、ありがとうです♪
そうでなかったら文章にすることはなかっただろうなぁ、、と思いました。

「忘れないで」「忘れないよ」
それはあらたまったり美しい気持ちだったりのときのこととは限りませんね。
それぞれが自分のチクチクしたものの中で思い出す時もある、
それが日常というものだしほんとのことだと思うしそれでいいと思うし。
もしも「すまないなぁ、、」なんていうチクチク感とともにわたしを思い出すことがあっても、
それでいいんだからね、とあなたに言ってあげたいです。
Commented by ハクママ at 2011-05-18 15:03 x
ああ、しわちゃん、ぺろちゃんとテンコちゃんの様子に
すっかりこちらも癒されました。じ〜っくり写真を観察。

そう、茶トラといえば、ファッツマイケルの漫画のイメージが
強いから、そんなふうにいわれるのかもねえ。

ところで。
犬と育った猫はいつ自分が猫と気づくのだろう??
それとも気持ちはずっと犬のままだろうか…

Commented by noone-sei at 2011-05-19 01:28
ハクママ、
>じ〜っくり写真を観察。
きゃはは。 それはありがたうです!うれしいです。

>ファッツマイケル
おー。心理テストじゃないけど、色柄別性格判断があるらしく
まぁ気品とか繊細とかいう言葉は茶トラにはありませんでしたよ(笑)

ペロ コ とテン コ のケージは仲良く並んでいまして、
テン コ のはペロ コ が小さい時に使ったものなのですが、
なんと「ハウス」と言ったらそれにペロ コ が入ったのでびっくりでした。
すごく小さいんですよ、なのに中で方向転換してでかい顔が正面に(笑)
ヤツらは互いに同じ大きさになると思っているのじゃなかろうか・・・
Commented at 2011-05-19 06:18 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by noone-sei at 2011-05-19 09:29
鍵コメントさん、
震災の日の朝、母とのやりとりで「自分を許す」という言葉が母から出まして、
わたしはほんとにびっくりしました。
自分のことをいつも許してばかりで困った母ですが、その言葉は
わたしに向けられたものだったんです。
そんなことは初めてで、そしたらその午後に震災、忘れられません。
自分を許す・・・だいじなことなのかもです。
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