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2夜 桃雪の節句


今日は桃の節句。

春の桃とは名ばかり、朝から雪が吹き降りて、外のバケツには氷が張った。
公共の水道ではそうはいかないんだが、わが家は地下水なので、
寒い間は一日中、外にある水道の水を細く出しておく。
昔は台所や洗面所の水も、夜はそうしていた。
うっかり栓をきゅっと締めて寝てしまうと、夜に水道管の水が凍ってしまって、
朝には水が出なくなり、昼には解けて激しい勢いで噴出するということがあった。
水道管が破裂することもあるので、寒い夜には水との相談が要った。
古い家では、今でもそうしているのじゃないかな。

畑にいたずら心で植えた蕗が、フキノトウになってたくさん芽を出した。
フキとフキノトウは同じ根のものなのだと、一年を通して見るとやっと分かる。
花のない時期。そう思っていたら、福寿草が咲き始め、
日当たりのいい畦道(あぜみち)には、小さく青い花がびっしりと咲いていた。
やっぱりもう春なのかしら。

今年はついぞ雛飾りを出さずにしまった。
そのかわり、甘酒を飲んで和菓子を食べ、母と茶飲みをした。
週末には、田舎に住むわたしが言うのもなんなんだが、
すばらしく田舎の町の雛祭り、つるし雛を見せに連れて行く。
運転がたいそう不安なんだと女ともだちに言ったら、予行演習をしよう、と、
山坂越えて車を走らせ連れて行ってくれた。
今度は自分で運転してゆけるだろうか。やっぱりたいそう不安だ。

わが家のお雛様は、おでかけはわたしといつも一緒。
こんなふうに濃密に過ごす日々が来ようとは思ってもみなかった。
わたしは母のお内裏様か、父の代わりか。
わたしを言葉で傷つけてきた母を 密かに西太后と呼んでいたけれど、
ちかごろ、ありがとうが言えるようになった母をお雛様と呼ぶ日が来ようとは、
やっぱり思ってもみなかった。


今夜のお写真は、その田舎町で見ためずらかな物たち。


□春のめでたさ
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サンシュユという花。春一番に咲く花なのだって?


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「すあま」だろうか。桃の節句にちなんだ餅菓子。


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つるし雛。稚児の形だろうか。


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まつぼっくりに丹念に布を挟み込む。


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こういう手仕事は、材料で違いが出る。
小さなものでも木綿と絹では光沢が違うので見るとわかる。


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おめでたいから、真っ赤な海老。あんまり写実的なので、思わず漢字で「海老」と書いてしまった。


□めずらかな物
この町では、商店街のおかみさん達が一年かけてつるし雛を作り、
それを節句の時期に店に飾って、商品とともに自由に入って観てもらう。
肉屋、電器屋、スーパーマーケット、皆、店内に飾りがたくさん吊ってある。
ここは荒物屋で、昔のアルミ弁当箱や見たこともないような金物が並んでいた。
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五徳もめずらしいと思うけれども、書いてある文字が読めない。
セリだか市場だかで業者が使う専門用語なのだとか。


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モグラ捕り。うちでは以前に居たコリー犬、クロ コ がモグラを捕まえてくれたっけ。


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イタチ捕り。農家にしてみれば、イタチやハクビシンは害獣だったんだなぁ。
by noone-sei | 2011-03-04 00:10


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