80夜 せつない話


きっときっとふたりとも、胸にしまっておいてほしいと思う。

母は少女に近い若い頃、関東に働きに出た。
山あいの温泉町で生まれて暮らして学校を卒業したけれども、
一時(いっとき)皆がそうであるように、地元ではなくて都会にあこがれた。
友人と汽車に乗り、上野に着いて乗り換えて、目的の職場に向かう。
頃はちょうど昼時、朝早くにばっぱちゃんが持たせてくれた握り飯がある。
けれども、友人は母よりすこし裕福な家の娘で、昼飯にと金を持たされていた。
どうしても荷物を下ろして握り飯を出すことができなくて、
結局、誰にもわからぬようにそれを捨てた。

・・それはわたしがずいぶん大きくなってから聞いた昔話。


鰐号とはあれ以来、会っていない。
顔を合わせない時に自分の部屋に来ている。
わたしが留守で母がおり、頃はちょうど昼時、わたしのほうの茶の間にいた鰐号に、
母が飯と煮魚とおひたしを運んでくれた。
夕方にわたしが帰り、夕食の支度を始めたら、ごみ入れにおかずが捨ててあって
鰐号が来ていたことを知った。
飯はなにか好きなおかずで食っていった様子、わたしはごみ入れから魚とおひたしを
汚さぬようにそっと取り出しその晩食った。
その魚は、料理の不得手な母が前の晩、煮方をわたしに教わって作ったもの。

・・鰐号は自分でどのようにも腹ごしらえができるはずだから、
もうわざわざ茶の間に飯を運ばなくてもいいのだから、とだけ母に告げた。
せつなくてせつなくて、ほんとうのことが言えない話。


今夜の気分はSWANという曲の感じ。
            メッテ・ハートマン(Mette Hartmann)の1stアルバムより



気分を変えて

□ふだんのたいせつなこと
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ふだんのごはんを撮ってみた。
青菜の炒め物と、鶏のソテー、セロリやトマトを煮たソース、
じゃこは水分を飛ばしてオリーブオイルと黒胡椒と白胡麻を混ぜておく。


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アジのマリネ、大根のひきな炒り、焼いた油揚げ、乾物の和え物、カボチャサラダ、紫蘇の実ごはんなど。
母と鰐号に作った昼ごはん。


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アジのマリネ。


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味噌味の芋煮に焼き餅を入れて。大根の葉は刻んで塩をして菜めしにする準備。


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じゃこ山椒ごはん、おでん。味噌汁には卵を落として。
もってのほか酢の物(食用菊)、はらこ醤油漬け(シャケの卵)、ふきの甘酢漬け。


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十月はシャケ(鮭)の季節。白子は醤油や味噌に漬けて焼く。
腹子(卵)は熱湯をかけて身をほぐし、醤油と酒に漬け、ごはんにかければはらこめし。


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もってのほかという名の食用菊。山形が本場。


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庭のもって菊。


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これはおまけの黄金桃。

■おまけ
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シワ コ :セイさん、こじゃれたカフェランチごっこしてるんですか?

わたし:そうだよぉ。ほんとは「あるものごはん」なの、ふふ。
     中身は変わらなくても気分を変えて、、ねっ。
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by noone-sei | 2010-10-26 04:02


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