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75夜 ときおりの休息 参  帰るあれこれ 


毎日、網で掬ってアオコを退治していると、
池で生まれた小さな鯉より大きいカエルが、ぼちゃんと飛び出したり飛び込んだりする。
一方、鰐が家には居ついてしまい、毎日、のたくたと茶の間を出たり入ったりする。
言うまでもなく、鰐とは一応人間の鰐号である。
旅行の費用を稼ぎに泊まり込みでアルバイトに精を出し、帰ったらアパートに戻らず居ついた。

友人のご子息は帰省して初給料で親に馳走し、
父の誕生日にはワインとチーズを送ってきたとのこと。
その成長にじんとなっていたら、わたしも鰐号に現金を貰った。

アパートに引っ越す時に残していった古本やDVDを引き取ってくれるところを見つけたので、
段ボールにひとつ送らせたら旅費の五千円になった。言うまでもなく艶物ばかりである。
泊まり込みから帰りその金を手にすると、
稼ぎが十分になったからこの金はかあちゃんにやる、というわけで、
どういう心境かわたしにくれた。

夏からこの秋、まとまった時間がとれず忙しかった。
「つづきはまたあした」で終えた74夜なのに、わたしの「あした」は二週間だ。
でもやっぱり「つづきはまたあした」って、とてもいい言葉。
ついこの間細い細い三角のような月を見たのに、いや月が三角であるはずはないんだが、
月のあしたは数日経って中秋の名月になった。

青い夕暮れを犬と散歩すると日の暮れが速い。
帰り足の空は夕闇にコウモリが飛び去る。
地面はぺたんと何かが脚に張り付き飛び跳ねたのはカエルだった。
うちの池に帰るカエルではないだろうけれど。
・・そうそう、鰐号は三日前から野球観戦の旅に出た。
二週間は帰らない。



                       *  *



今夜は、狭いところからより狭いところに入り込むようなお写真を。

□京都文化博物館の内部
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天井を見上げた時に見えた、漆喰(しっくい)の壁。


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美しい、意匠を凝らした天井。


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木の柱。


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柱の台座。


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大理石。


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窓。










        『感覚』           アルチュール・ランボオ(堀口大學:訳)


     夏の夕暮れ青い頃

     行こう楽しく小径沿い

     麦穂に刺され、草を踏み

     夢心地、あなうら爽(さや)

     吹く風に髪なぶらせて!




     物言わず、ものも思わず、

     愛のみが心に湧いて、

     さすらいの子のごと遠く僕は行く

     天地(あめつち)の果てしかけ

     女なぞ連れたみたいに満ち足りて




サントリーローヤル ランボオ編



     
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by noone-sei | 2010-09-22 03:56 | ときおりの休息 参(12)


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