他界してしまったのが惜しまれる作家、向田邦子の引き出しには、 「う」の項があって、うまいものの「う」がたくさん詰まっていた。 わたしもそのような引き出しを持っている。 うまかった料理屋の箸袋だとか、菓子箱にそっとしのばせてあった栞(しおり)だとか、 大きな町や小さな町のちょっとした食材店で買い求めたうまいもののラベルだとか、 可愛くて持って帰った寿司屋のコースターだとか。 どんどん詰め込んでしまってあふれ出した引き出しを このあいだ整理した。 おもいきり捨てようと心に決めていたのに、全部は捨てられなかった。 可愛いコースターはマグロのネタを頭に乗っけたシャリの絵で、 そこには「トロ頭巾(ずきん)」って書いてある。可愛いので捨てられない。 「霜ばしら」という仙台の菓子のラベルがあった。 霜柱は暖かくなると融けてしまうものだから、そっくりの菓子も寒い季節にしか売らない。 仙台は伊達政宗が菓子好きだったのか? ・・そんなわけはないだろうが、 それにしても、城下町というのは菓子文化が発達する。 うまいと思う菓子がいくつかあり、わたしの一番は霜ばしらだ。 書いたよ。 書いたから、これでやっと霜ばしらのラベルを捨てられる。 誰にも言わなかったらずうっと持っていたのだろうなあ。 霜柱なんだから、あっためてちゃいけない。 ■宮城や山形の「う」 こちらは戴き物がうれしいの「う」。
by noone-sei
| 2010-02-27 03:36
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