90夜 等しく迎える朝


もうすぐ四月。
子供たちは耐えている。
いいことばかりじゃないんだとちゃんとわかっていて、
逃げちゃいけないんだということをわかっているから、だからつらそうだ。

余裕綽々、やる気満々で中学生になるかのような風呂敷を広げても、
ほんとうは王様の袖をつかんで離さなかった小粒にも、

塾ではけたたましく笑い声をたてて毒づいて噛みつく勝気さで売っているけれども、
ほんとうは吐き気をこらえてやっと学校に行っている仔猫にも、

お守りの五円玉をカードを買う税金に使ったと見栄を張っても、
ほんとうは気が小さくて合格発表の日は行方知れずで大騒ぎを起こし、
翌日合格していたことがわかった上等!にも、

あんたたちお子ちゃまとは違うと醒めた目で同世代を見つめても、
ほんとうは「見て見て、わたしだけを見て」」と言っていたいのに言えないレイコさんにも、

学年が変わるという儀式が君たちを待っている。
背中を通して君たちの瞳が見える、泣きそうだ。

また一年間、見て見ぬふりをしてあげるよ。
そして祈るよ、・・君たちに等しく同じ朝がくるように。
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by NOONE-sei | 2005-03-26 18:05 | 百夜話 本日の塾(9)


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