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7夜 ちかごろの春


春彼岸は墓参り。
本家で、ぼたもちと、青菜とふきのとうを和えたおひたしと、
これは必ず作る、切り昆布と車麩の煮物を馳走になった。
毎年季節に食するもの、慣わしに食するもの、変わらずに墓前に供えるもの。

毎年変わらず替えることというのがある。
季節に合わせて装いを替えること。春には春の装い。
ちかごろ雪が降って、春だと思っていた体が驚いて、体感温度が低くて寒い。
それでも、素材は厚物でも色は春物。
このように、着る物の素材や色に思いをめぐらし、
着る物に季節と相談をすることを美しいと思う。
食生活も同じように、野菜も白いものから青みのあるものへと替えてゆく。
白菜や大根から、かぶれ菜や野の物へ。

ところでまだ春は名のみの風の寒さ。
母とほとんど毎日、昼の陽のある時間に犬を伴って散歩をしている。
ひとりで犬を連れていたときには、よく休耕田でノビルを採ったり小川でセリを摘んだりした。
犬はわたしの道草をのんびり待っていてくれた。
ふきのとうやつくしもそのようにして食卓に上ったのだったが、今年は野の物が摘みにくい。
母は父としていた散歩をわたしとするので、道草を食わない。
それに加えて子犬は待たない。

先日、紅梅の赤と連翹の黄に、白い山からこぼれた雪がちらついて、
それでも風をよけながら歩いていたらふきのとうをみつけた。
ちかごろとんと見かけていなくてとても食べたかったので、
母に子犬を任せて休耕田に入り摘んでいたら、子犬は待っていなかったらしい。

・・子犬はぱくんと食うんだという。
しかも、ふきのとうを選んで。



                    * *


ここでちかごろの野のお写真を載せたいところなのだけれど、
まだゆとりがない日々なので、食べ物のお写真を載せて冬から春を感じてもらおう。

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友人のところで馳走になったキクイモの漬物。


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宮城松島の浜で焼いた牡蠣、働く手が美しい。


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焼きホタテ。



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                                                        photo by bow
父を偲ぶ食事会での前菜。このときはまだ二月初旬だったのに、ホテルが春らしい献立にしてくれた。
by NOONE-sei | 2009-03-29 02:46


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