4夜 ねこまた


ねこまたって、なんだ?
猫もまたいで通る学生寮のまずい食事、と聞いたことがあるが。
妖怪化け猫とも聞いたことがあるが。

枕木のように問題が沸き起こる日々から平穏な日々になったと思うだろう?
ネットから遠ざかり、縫い物をする、と聞くとさも平穏そうだ。
・・PCは、春休みでどっかり茶の間に居座り、ゲームと野球に嵩(こう)じる鰐号に占領されている。
・・縫い物は、ペロ コ めが食いちぎった、引き綱やシワ コ の首に巻いた可愛らしいリボンの補修だ。
いや、そんなことはたいした問題ではない。

ネズミが出たのだ。
農村地帯なのだからどこにだってネズミぐらいは、いる。
思い返せば、アク コ が弱り始めた頃、木小屋に保存しておいたリンゴが食われた。
上からきれいに丸く、しょりしょり齧ったような跡を見つけた時には、ハクビシンが居ついたのかと思った。
居つく動物なら追い出すわけにもいかない、というのがわが家の考えかただけれど、
それにしては糞溜(くそだま)りがない。
王様にリンゴ箱の周辺を見てもらったら、あるのはネズミの糞(ふん)だという。
ハクビシンなら仕方がない。ツバメが巣を掛けるなら大歓迎。
なのに、出たのは歓迎しないネズミだ。

アク コ の親は、カエルやら長いものやらコウモリやらネズミやらを
せっせと獲ってアク コ に食わせていたから、
アク コ はほとんど家から離れないで生き餌を喰う猫だったけれども、
親のブチ コ がいなくなってからは、見よう見まねで気まぐれに自分も獲ってくることがあった。
それでも床下からネズミが出ることがあったのだから、アク コ の狩りなどたかがしれていたのだが、
いくらかは役に立っていたんだろう。
昨日、裏口で納戸の床下から外の書庫の下にさささと走る小さいネズミを見てしまって驚いた。
アク コ や親が居た頃は、糞を見てネズミが居ることを知るが実物を見ることはなかった。

これは困った、猫はもういない、猫いらずを撒(ま)いたら、ペロ コ が食うにちがいない。
シワ コ は手でばしっと玄関の引き戸を開ける知恵があるけれども、閉めることをしない。
玄関が開いていたらネズミが家に上がってしまう。
玄関の錠を掛けに行ってみると、石畳に水に濡れたネズミが死んでいた。
どうやら、玄関の外の水屋で水を飲み走り去るネズミをシワ コ が仕留めたようなのだ。
シワ コ は尋ねても答えないから憶測でしかないのだけれども。

アク コ を看取ったそのすぐ後に、母が言った。
 「みんなに話があるから。
  もう、犬も猫も拾って連れて来ないこと。いいね?」
逝ったばかりのアク コ の前でそれを言うのはどうかとも思ったが、
母のために次の猫をという考えがよぎっていなかったかといえば嘘になる。
猫いらずより本物の猫に勝るものはなく、猫を飼えば何所帯かのネズミが即座に退散するのだが、
今日、母に気は変わらないのか尋ねても答えは変わらなかった。

猫は十歳を過ぎたら猫又と言ってもいいのだとか。
シワ コ はもうすぐ十一歳を迎える。アク コ はもういない。
妖猫よばわりするようで申し訳ないんだが、一肌脱いで、ここはひとつ、犬又になってはくれまいか?



猫又とは


c0002408_134384.jpg
今は亡きアク コ : 猫はネズミを獲って一人前だからねっ。
シワ コ : うーーん、それは・・
      努力はしてみますけど、、、。





c0002408_154348.jpg
シワペロ: もう、眠いです。


c0002408_15138.jpg
ペロ コ : え゛、犬又見習い?


c0002408_152421.jpg
ペロ コ : やだやだやだーー、まだこどもだからねっ。
[PR]
by NOONE-sei | 2009-03-14 02:36


<< 5夜 幼年期の終わり 3夜 そっと「ハリーポッター」祭り >>