数のない夜  死がふたりを別つまで


 ・メンタルな話なので引き寄せられる人は読まないほうがいい

前夜に書いた、『病める時も健やかなる時も』にはつづきがある。
・・『死がふたりを別(わか)つまで』

子犬が生後半年になって、先住犬のシワ コ とすこし折りが良くなってきた。
どちらが譲ることを覚えたのか、見て見ぬ振りを覚えたのか、
どちらもだと思いたいところだが、実際のところはシワ コ が力の抜き加減を覚え、
ペロ コ はシワ コ に慣れたんだろう。

相変わらず周囲には無頓着に無邪気なペロ コ に接するのは、ある意味気が楽だ。
シワ コ との十年は、切なかったり気づかったり、濃いものがあり、
傍らに寄り添っていても周囲に気を張り巡らせ野生を失わずに距離を置くシワ コ は、
いつもわたしと神経の糸が繋がっている。
一方ペロ コ は、シワ コ のように気配を読んでわたしの視線や行動を追わないので、
糸がまったく繋がらない。
たとえ乱暴に扱っても誤って踏んづけても、シワ コ に感じる切なさや憐憫を感じない。
わたしが指をさしたらシワ コ はその先にあるものを見るが、ペロ コ は指そのものを見る。
日本語がわからないので、ぼぉっとしている。

シワ コ は、王様に言わせるとわたしと一心同体なので、そばにいるのが当たり前だった。
けれどもペロ コ には、言葉にして言ってみた。
言ったところでわかりはしないんだが。
「一生、一緒にいようね。」
ペロ コ がどれくらい生きるかはわからないが、長く生きてほしいと思う。
わたしにとって、犬を飼うことは日常で、ペロ コ が最初の犬でも最後の犬でもないけれども、
ペロ コ にとってはここで生きるのが全てなのだと、いまさらのように気づいた。

シワ コ は従順でありながら気難しい犬だったから、母はすこし距離を置いて扱っていたが、
ペロ コ のことはかわいくてかわいくて、普通の犬にやっと会えたような気持ちになるらしい。
その天真爛漫さに、気持ちがほぐされるのだろう。
父を失って一年、記憶の中の父に恋をし続ける母に、笑いをもたらしてくれるのは子犬だ。


死がふたりを別つまで

まるでそこで終わりのような文言だけれども、父と母、ことに母にとっては、
病める時も健やかなる時も、死がふたりを別(わか)つまで  ・・ではなく、
病める時には揺れ惑い、やがて死がふたりを別ち、そうして初めて健やかに愛が訪れている、
そんなふうに見える。





仲よさそうに並んでみました
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ちょとぼぉっとしてみました
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by NOONE-sei | 2009-01-31 03:00 | 数のない夜(23)


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