夜に動き出すものはなんだろう。 それは、スイカを食べに来る者。 ・・そんなはずはない。 知覚融合のない、というより、ちょと鈍いわたしは、 なにかを見ても、脳が見たものと別のものを即座にイメージできるわけではない。 花だとか雲だとか月だとかいうような、具体的なものを見たとして、 視覚から脳にそれらの像がまず伝達されて、 それから別のイメージに変換されるまでには、ややしばらくかかる。 むしろ、文字記号のほうが、素早くイメージは膨(ふく)らむ。 ゆうべ、友人と飲んで帰る途中のこと、彼女が月を見つけた。 「ほら、あそこ、スイカのような月。」 わたしはあさってのほうを探し、夜のてっぺんを見上げたら、 月はなんのことはない、駅のすぐ上にあった。 ・・スイカ? 緑も赤もない半月を見つけて彼女はスイカという。 満月であればウサギが居るあたりが、スイカの種だ、と。 ・・見えない。 同じものを見ていながら、同じように見えない、 交じり合わないことはさみしい。 両の目で見て、脳で見て、それでも見たまましか見えないのなら、 せめてわたしは網膜の裏で像を結ぼう。 そして想像しよう。 夜、寝静まった頃に来るスイカ泥棒を。 * * 今夜は夜にスイカ泥棒を見張る者たちのお写真を。 ・・嘘。ガーゴイルの絵本を。 町かど高く身をひそめている。 からっぽの目はまたたきもしない」 幻獣には惹かれるのだけれど、この絵はこわい。 昼に見張りの仕事をしている者たちは、なぜこんなにこわい姿になってしまったの? 夜になって開放されて、壁や梁を這い下(お)り、自分たちがいた建物の中の、 ミイラや絵やよろいかぶとを見る。 地面に下りると集会をし、噴水の水をなめるけれども、石でできているので声はくぐもっている。 こんなふうに作った人間のことが好きじゃないから、いたずらしてこわがらせているうちに、 夜が明けて、翼のある者は飛んで戻り、無い者は這い登り、また次の夜まで。・・というお話。 訳が大人っぽくて良いのだが、名が体を現わして麗しすぎる江國香織と知って、ちょと驚いた。 東京には久しく行っていないけれど、こんなところやこんなところには行ってみたい。 ガーゴイルってこんなもの いつも予告している次の夜のことだけれど、クリスマス・イヴかしらん? シワ コ に用意をさせなくちゃ! ちかごろの、 ほんとはまだ仲良くなるには時間がかかりそうな犬たち
by NOONE-sei
| 2008-12-21 02:49
| 絵のような 文のような(5)
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