絵のような 文のような  弐


c0002408_217464.jpg



冴え冴えと脳が働くわけでもなく、
今のわたしは使いものにならないわけで、
おはなしも文章も低迷している。
読んでいるひとたちは、こんなものでおもしろいだろうか。
申し訳なく思う。

過去の夜話(よばなし)を読み返すということは、あまりしない。
それは過去に遡れば遡るほど、こんなことを書いてよいのだろうかと、
どきどきひやひやしながら、薄氷を渡るような心持ちで書いたからで、
それは拙(つたな)いものだったけれども、いつも決心をして書いたからで、
張り詰めていたひとつひとつのそれら夜話は、今のわたしには書けないからだ。
それらに、少なくとも脳が鈍っている、今のわたしの緩さはない。
書けないものを目でなぞるのはつらい。


名は体を現わすというだろう?
名には、文章をつないで想起させるほどの力があって、
先の夜話 壱に登場させたほとんどよく知らない作家であるのに、
小川未明、その文章がどれほど読むわたしを救われない悲しみに蹴落とすか、
新美南吉、その土着がどれほど読むわたしを木枯らしに立ちつくさせるか、
それを思うと背表紙に手を伸ばせない。
鈴木三重吉という名からは、先にも言ったとおり、なにも感じないからよくわからない。

先ごろ、文章をある誌面に掲載される機会があり、
うっかり筆名を打ち合わせずにしまったものだから本名に近いもので載って驚いた。
わが家の子犬はうちに来る前、仮の名が「セイ」だったという。
理由は聞いていないけれども、天然なところはよく似合っていたと思う。
・・どうせなら、ペンネームもどき、犬の仮の名と同じでよかったのにな。


                     * *


さて今夜は本のおはなし。
・・ではなくて、初山 滋が挿画を描いている本が綺麗だったので、そのお写真を。
c0002408_364768.jpg



c0002408_37289.jpg



c0002408_371514.jpg
となりの道化師は宇野亜喜良の挿絵の絵本。
このお話はまた次の夜に・・。





本日の「おとなしい」子犬と「ありのまま」の子犬

c0002408_337390.jpg


c0002408_3372974.jpg

[PR]
by NOONE-sei | 2008-12-12 03:14 | 絵のような 文のような(5) | Comments(6)
Commented by しょーじ at 2008-12-12 12:36 x
私も筆名を使って書いています。
自分が読む時、自分の文章と思わないようにするため。
ただ、それとは違う意味で、
最近、昔書いた作品を読んだ方から褒められる機会がありましたが、
当時と今の私は違いますし、当然、昔と同じものは書けないわけで、
自分が書いたものであって、自分ではないという、不思議な気分を味わいました。
まぁ、今の私は今書けることを精一杯書けばいいと、居直ってます(笑)

「おとなしい」子犬と「ありのまま」の子犬・・・とても同じ子犬とは思えませんね(苦笑)
Commented by NOONE-sei at 2008-12-13 01:22
しょーじさん、
しょーじさんはご自分の文章を客体化するために筆名をお持ちなのですね。
では、筆名が世阿弥の第三の目なのかな。
わたしの場合はどぉなんだろう・・
自分の文章に対しては、自分の文章以外のなにものでもないとしか思えないので、
むしろ自覚的であろうとさえしているので、
筆名は最後の砦、プライベートな「ワタクシ」というものを守るもの、かな。
むぅ~~ 脳みそを使ったらよくわかんなくなっちゃった・・

子犬ねーー。
「ありのまま」のほう、いい食べごろに育ったでしょう?わはははは
Commented by ひす at 2008-12-13 13:33 x
「今」という時点を厳密に見つめると、
それは必ず手をすり抜け、瞬間的に「過去」になり、
永遠に認識できないから、仕方なく、最も近い「過去」か「未来」で手を打つ。

そういった話を漠然と連想しました。

でも同じ一連の時の流れであることは、間違いない事実ですよね。

>子犬
どっちもすき~!ヾ(≧∇≦)ノ彡☆
私にはその中間の流れも見えたぞ!
Commented by NOONE-sei at 2008-12-14 01:22
ひすさん、
ん、なんか「手を打つ」というのがよいねーー。
わたしの好きな言葉はね、「折り合いをつける」です。
厳密さの迷路に入り込むと、つい迷子になってしまうからねぇ。
・・むかしの夜話のキレというかあぶなっかしさというか、
それがひどく懐かしいときって、あるですよ。

中間の流れって、どんなだろ。
丸くなって寝てるのがへそ天になるとか、
餌がほしくてケロケロ鳴くとか。(←ケロケロ言わないって)
Commented by 及原ムメイ at 2008-12-18 10:54 x
「名は体をあらわす」の言葉、キーワードみたい。
いつもセイさんの文章からは鍵をいただいて帰ります!
私はまさにプライベートを守るためとわかりやすさのために、
実はなじめないのにカタカナのムメイを使っています。
周囲の雰囲気に応じて霧明。これも自分じゃないみたいだけど。
昔は自分に名前をつける場面なんてなかったのに、今はインターネットで誰でも違う名前を持っていますよね。
人のハンドルネームのつけかたを見るのはちょっと楽しい。
Commented by NOONE-sei at 2008-12-20 02:33
ムメイさん、
名前、気になりますよね。英語か記号かわからないハンドルネームなどは、
意味が隠れていないかを探してしまいます。数字は、わりとわかり易いのですけれどね。
あれ?カタカナのほう、なじめませんか?
苗字もカタカナだとちょと親近感から遠のきますが
(全部カタカナというのはけっこうとんがって目に映るので)
ムメイさんのは漢字かなまじり(というのか?)なので、わたし、すごく好きなのですけど?
霧明さん、というのは、どうしても初めにインプットしたのがムメイさんだったので、
まだ結びつきがわたしの中では弱いです。
周囲の雰囲気からだったのですか?ふぅ~ん・・
わたしの場合、苗字のないセイなので、どうしようかなぁ・・と思っているところです。
発表するときに、苗字を求められたようなんですよ。

名前
URL
削除用パスワード


<< 絵のような 文のような  参 絵のような 文のような  壱 >>